アンジオテンシンII阻害剤は肺がんにおけるタルセバの効果を高める

f-gtc (2016年7月14日 14:08)

アンジオテンシンII阻害剤は肺がんにおけるタルセバの効果を高める

Renin-Angiotensin System Blockers May Prolong Survival of Metastatic Non-Small Cell Lung Cancer Patients Receiving Erlotinib (レニン-アンジオテンシン・システムはエルロチニブ投与を受けている転移のある非小細胞性肺がん患者の生存期間を延長する可能性がある)
Medicine (Baltimore). 2015 Jun; 94(22): e887.

エルロチニブ(Erlotinib)は上皮成長因子受容体(EGFR)のチロシンキナーゼを選択的に阻害する内服の抗がん剤で、商品名をタルセバと言います。非小細胞性肺がんや膵臓がんの治療に使われています。

転移している非小細胞性肺がんに対してエルロチニブで治療を行った117例の患者を解析したところ、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(angiotensin-converting enzyme inhibitorsACEIs)かアンジオテンシン2受容体タイプ1の阻害剤(angiotensin-2 receptor 1 blockersARBs)を服用していた患者さんの生存期間が長かったという結果が得られたという報告です。

この117例のうち、転移のある非小細胞性肺がんの診断のついた時点で、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEIs)かアンジオテンシン2受容体タイプ1の阻害剤(ARBs)のどちらを服用している患者は37例でした。このレニン・アンジオテンシン系阻害剤のグループ(renin-angiotensin system blockersRASBs)が、RASBsを服用していない非小細胞性肺がん(転移あり)80例を対照にして比較しています。

全症例の平均年齢は61(±1)歳で、全例が抗がん剤治療かエルロチニブ治療を受けていました。

RASB群は対照群に比べて、喫煙率が高く、高血圧と虚血性心疾患の率が高く、エルロチニブ、サイアザイド系利尿薬(thiazides)、βブロッカー、カルシウム・チャネル・ブロッカーを使用している頻度が高いことが認められています。

追跡期間の中央値は18.9ヶ月(1〜102ヶ月)です。

追跡期間の中央値はRASB群が17ヶ月で対照群が11ヶ月と統計的有意差を認めました(P=0.033

処方されたRASB剤で最も多かったのはバルサルタン(valsartan)でした(37例中12例が服用)。

解析の時点で98例(83.7%)が死亡していました。

全生存期間の中央値はRASB群で17ヶ月、対照群は12ヶ月でした(P=0.016)。興味深いことに、エルロチニブで治療を受けている場合に、RASBの使用による生存期間の延長が最大でした。

RASB+エルロチニブの全生存期間が34ヶ月に対して対照群は25ヶ月でした。

エルロチニブ治療でACEIの使用者は4例のみであったため、この生存期間の延長はおもにARBs(アンジオテンシン2受容体タイプ1の阻害剤)によるものでした。

 

原文のAbstract

Renin-Angiotensin System Blockers May Prolong Survival of Metastatic Non-Small Cell Lung Cancer Patients Receiving Erlotinib

Adnan Aydiner, MD, Rumeysa Ciftci, MD, and Fatma Sen, MD

Monitoring Editor: Chun-xia Cao.

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Abstract

The aim of this study is to determine whether renin-angiotensin system blockers (RASBs), which include angiotensin-converting enzyme inhibitors (ACEIs) and angiotensin-2 receptor 1 blockers (ARBs), improve the overall survival (OS) of patients with metastatic non-small cell lung cancer (NSCLC).

The medical charts of 117 patients with metastatic NSCLC were retrospectively assessed. Thirty-seven patients (RASB group) using RASBs during systemic treatment were compared with 80 controls (control group) who did not use RASBs following the diagnosis of NSCLC. The histological tumor subtype, performance status, age, sex, smoking status, comorbidities, other medications, chemotherapeutics (CT), and erlotinib that were received in any line of treatment were recorded. We compared the OS of the patients in the RASB and control groups.

The median (±SD) age of the patients was 61 (±1) years and all patients were administered systemic treatment (CT or erlotinib). The patients in RASB group were more likely to be smokers, have hypertension and ischemic heart disease, and use erlotinib, thiazides, beta-blockers, and calcium-channel blockers (P < 0.05 for all) compared with the control group. The median follow-up time was 18.9 months (range 1-102 months) for the entire group. The median follow-up period was longer for RASB group than control group (17 vs 11 months, P = 0.033). The most commonly prescribed RASB agent was valsartan (n = 12/37). At the time of the analysis, 98 (83.7%) of all patients had died. In the univariate analysis, the median OS was longer in the RASB group compared with the control group (17 [±4.1] vs 12 [±1.4] months, P = 0.016). Interestingly, further analyses revealed that RASBs significantly improved OS only if used with erlotinib concurrently (34 [±13.8] vs 25 [±5] months, P = 0.002) and the OS benefit was more attributable to ARBs because only 4 patients received ACEI and erlotinib concurrently. However, the benefit of ARBs on OS disappeared in the multivariate analysis.

The use of ARBs during erlotinib treatment may prolong OS of patients with metastatic NSCLC.

ビタミンD3+メトホルミン+ケトン食が乳がんに効く可能性がある

f-gtc (2015年10月18日 07:09)

ビタミンD3+メトホルミン+ケトン食が乳がんに効く可能性がある

Effects of Pre-surgical Vitamin D Supplementation and Ketogenic Diet in a Patient with Recurrent Breast Cancer.(再発乳がん患者における術前のビタミンD補充とケトン食の効果)Anticancer Res. 2015 Oct;35(10):5525-32.

【要旨】
研究の背景:19歳で出産した1児の母親である女性が、1985年(37歳)に右の乳がんと診断された。患者は腫瘍の摘出(乳房温存手術)とリンパ節廓清、放射線治療を受けた。
1999
年に左乳房に乳がんが見つかり、切除と放射線治療が行われ、さらにホルモン療法(タモキシフェン)を6年間受けた。
2014
年の3月に、1985年に手術と放射線治療を受けた乳腺の残存乳腺組織から浸潤性乳管がんが発見された。
症例報告:術前の生検による病理検査では、プロゲステロン受容体(PgR)の発現は少なく(<1%)、エストロゲン受容体(ER)は強陽性(90%)で、ヒト上皮増殖因子受容体(HER2)は陽性(>10%, score 2+)、増殖活性を示す核タンパク質Ki67は強陽性(30%)であった。
診断から手術まで3週間あり、その間の治療の計画が無かったので、患者は自分の判断で、ビタミンD3(1日10,000 IU)と厳格なケトン食を実施した。
結果:右乳房切除を行われた。切除組織の病理検査でHER2の発現は全く認めず(陰性、score 0)で、PgRの発現は亢進していた(20%)。ERKi67の陽性度は変化なかった。
結論:この症例は、高用量のビタミンD3とケトン食の併用は、乳がん細胞のHER2発現を抑制し、プロゲステロン受容体の発現を亢進するなど、乳がん細胞の生物学的性状に影響を及ぼす可能性を示唆している。

これは1例の症例報告ですので、高用量のビタミンD3とケトン食の併用が乳がんに有効かどうかのエビデンスは低いのですが、高用量のビタミンD3とケトン食はそれぞれ乳がんに対する効果が報告されているので、この2つの治療の併用を試してみる価値はあるかもしれません

また、ビタミンD3とメトホルミンの相乗効果は乳がんや前立腺がんや大腸がんなどで報告されています。メトホルミンはAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化してAkt/mTORシグナル伝達系を阻害し、がん細胞の増殖を抑制します。ビタミンD3はメトホルミンの抗腫瘍効果を高めます。次のような報告があります。

Synergistic antitumor activity of vitamin D3 combined with metformin in human breast carcinoma MDA-MB-231 cells involves m-TOR related signaling pathways. (ヒト乳がん細胞MDA-MB-231細胞におけるビタミンD3とメトホルミンの併用による相乗的な抗腫瘍効果はmTOR関連のシグナル伝達系が関与する)Pharmazie. 2015 Feb;70(2):117-22.

メトホルミンは2型糖尿病の治療に使用されていますが、最近の多くの研究によって、メトホルミンとビタミンDは多くのがん細胞に対して抗腫瘍効果を示すことが示されています。
この研究では、ヒト乳がん細胞株MDA-MB-231を用いて、ビタミンD3とメトホルミンの併用はアポトーシス誘導において相乗効果があることを報告しています。その抗腫瘍効果の発現にはmTOR関連のシグナル伝達系が関与することを報告しています。つまり、ビタミンD3とメトホルミンはmTOR(哺乳類ラパマイシン標的蛋白質)の活性を阻害することによってアポトーシスを誘導することを示しています。
前立腺がんや大腸がんでも同様の効果が報告されています。

Vitamin D3 potentiates the growth inhibitory effects of metformin in DU145 human prostate cancer cells mediated by AMPK/mTOR signalling pathway. (ヒト前立腺がん細胞DU145におけるAMPK/mTORシグナル伝達系を介するメトホルミンの増殖阻害作用をビタミンD3は増強する)Clin Exp Pharmacol Physiol. 2015 Jun;42(6):711-7.

前述のようにメトホルミンはAMPKを活性化してAkt/mTORシグナル伝達系を抑制し、抗腫瘍効果を発揮します。ビタミンD3はメトホルミンのAkt/mTORシグナル伝達系の抑制効果を増強して、アポトーシス誘導を亢進するという作用機序です。
Akt/mTOR
シグナル伝達系は、インスリンやインスリン様成長因子-1IGF-1)などの増殖因子や成長因子で活性化され、タンパク質や脂質の合成や、細胞分裂や細胞死や血管新生やエネルギー産生などに作用してがん細胞の増殖を促進します。
メトホルミンはAMP依存性プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化し、活性化してAMPKmTORを抑制することによって、がん細胞の増殖を抑制します。
 

Combined use of vitamin D3 and metformin exhibits synergistic chemopreventive effects on colorectal neoplasia in rats and mice. (ビタミンD3とメトホルミンの併用はラットとマウスの結腸直腸がんの発生に対して相乗的な化学予防効果を示す)Cancer Prev Res (Phila). 2015 Feb;8(2):139-48.

この研究はラットとマウスを用いた大腸発がん実験での検討です。メトホルミンは化学発がんモデルで大腸がんの発生を抑制する作用があります。ビタミンD3はメトホルミンの発がん抑制作用を増強するという結果です。そのメカニズムとして、mTOR活性の抑制を認めています。さらに、ビタミンD3にはビタミンD受容体/β-カテニンのシグナル伝達系に作用してβ-カテニンの働きを抑制することによってc-MycやサイクリンD1の発現を抑制する作用も指摘しています。

ビタミンD3とメトホルミンの併用は、相乗効果によって発がん抑制や抗腫瘍効果を高めることができるという結論です

ケトン食もAMPKを活性化し、Akt/mTORシグナル伝達系を抑制します。したがって、ケトン食を実践しているとき、ビタミンD3とメトホルミンを併用すると、抗腫瘍効果を高めることができます。

進行した乳がんの代替医療として、高用量(1日400010000国際単位)のビタミンD3とメトホルミン(1日10001500mg程度)とケトン食の組合せは、相乗効果が期待できると考えられます。ビタミンD3もメトホルミンも安価ですので、試してみる価値は高いと言えます。
この組合せは乳がんだけでなく、大腸がんや膵臓がんや肺がんなど他のがんにも効果が期待できます。
 

カンナビジオールはパクリタキセルの神経障害を軽減する

f-gtc (2015年4月19日 12:15)

カンナビジオールはパクリタキセルの神経障害を軽減する

Cannabidiol inhibits paclitaxel-induced neuropathic pain through 5-HT(1A)
receptors without diminishing nervous system function or chemotherapy efficacy.
(カンナビジオールは、神経系の機能や抗がん剤の効果を減弱することなく、5HT1A受容体を介してパクリタキセル誘発性の神経障害性疼痛を阻止する)Br J Pharmacol. 171(3):636-45.2014

【要旨】
研究の背景と目的:パクリタキセルは末梢神経にダメージを与えて痛みを引き起こす副作用があり、これによって抗がん剤治療を中断せざるを得ない場合もある。我々は以前の研究において、精神変容作用を持たないカンアビノイド(大麻に含まれるある種の成分の総称)の一つであるカンナビジオールが、パクリタキセルによる機械的および温熱による疼痛感受性の亢進を阻止する作用を有することをマウスを使った実験で明らかにした。抗がん剤による末梢神経障害を阻害するカンナビジオールの作用のメカニズムを明らかにし、カンナビジオールの作用が神経機能や抗がん剤の抗腫瘍効果を減弱させる作用がないかどうかを検討した。
主な結果:マウス(C57Bl/6 mice)を使った実験で、パクリタキセルで誘発される機械的刺激に対する疼痛感受性の亢進はカンナビジオール(2.510mg/体重1kg)の投与によって阻止された。この効果は5HT1A)受容体のアンタゴニスト(拮抗薬、阻害薬)であるWAY100635の同時投与によって減弱したが、カンナビノイド受容体のCB1のアンタゴニスト(SR141716)やCB2のアンタゴニスト(SR144528)では減弱しなかった。カンナビジオールの投与によってマウスの学習機能や認知機能などに低下は認めなかった。培養乳がん細胞を用いた実験では、パクリタキセルとカンナビジオールの併用は、相加あるいは相乗的な抗腫瘍効果の増強を示した。結論:今回の実験結果より、カンナビジオールはパクリタキセルによって引き起こされる神経障害を予防する効果を示し、その作用機序として5-HT1A受容体を介する機序が示唆された。さらに、学習効果や認知機能などの神経系の働きに悪影響は及ぼさず、乳がん細胞に対するパクリタキセルの抗腫瘍効果を減弱させることはなかった。以上のことから、パクリタキセルによる抗がん剤治療にカンナビジオールを併用することは、神経障害の発生予防や軽減において有効で安全な治療法と言える。

 

 (原文)

Br J Pharmacol. 2014 Feb;171(3):636-45. doi: 10.1111/bph.12439.

Cannabidiol inhibits paclitaxel-induced neuropathic pain through 5-HT(1A) receptors without diminishing nervous system function or chemotherapy efficacy.

Abstract

BACKGROUND AND PURPOSE:

Paclitaxel (PAC) is associated with chemotherapy-induced neuropathic pain (CIPN) that can lead to the cessation of treatment in cancer patients even in the absence of alternate therapies. We previously reported that chronic administration of the non-psychoactive cannabinoid cannabidiol (CBD) prevents PAC-induced mechanical and thermal sensitivity in mice. Hence, we sought to determine receptor mechanisms by which CBD inhibits CIPN and whether CBD negatively effects nervous system function or chemotherapy efficacy.

EXPERIMENTAL APPROACH:

The ability of acute CBD pretreatment to prevent PAC-induced mechanical sensitivity was assessed, as was the effect of CBD on place conditioning and on an operant-conditioned learning and memory task. The potential interaction of CBD and PAC on breast cancer cell viability was determined using the MTT assay.

KEY RESULTS:

PAC-induced mechanical sensitivity was prevented by administration of CBD (2.5 - 10mg·kg¹) in female C57Bl/6 mice. This effect was reversed by co-administration of the 5-HT(1A) antagonist WAY 100635, but not the CB antagonist SR141716 or the CB antagonist SR144528. CBD produced no conditioned rewarding effects and did not affect conditioned learning and memory. Also, CBD + PAC combinations produce additive to synergistic inhibition of breast cancer cell viability.

CONCLUSIONS AND IMPLICATIONS:

Our data suggest that CBD is protective against PAC-induced neurotoxicity mediated in part by the 5-HT(1A) receptor system. Furthermore, CBD treatment was devoid of conditioned rewarding effects or cognitive impairment and did not attenuate PAC-induced inhibition of breast cancer cell viability. Hence, adjunct treatment with CBD during PAC chemotherapy may be safe and effective in the prevention or attenuation of CIPN.

水素水は放射線治療のQOL(生活の質)を良くする

f-gtc (2015年2月13日 17:05)

水素水は放射線治療のQOL(生活の質)を良くする

Effects of drinking hydrogen-rich water on the quality of life of patients treated with radiotherapy for liver tumors. (肝臓腫瘍の放射線治療を受けた患者の生活の質に対する水素水の飲用の効果) Medical Gas Research 2011;1:11. doi:10.1186/2045-9912-1-11.

【要旨】

背景:放射線治療を受けているがん患者は倦怠感や生活の質(QOL)の低下をしばしば経験する。放射線治療の副作用の多くは、放射線照射中に発生する活性酸素種による酸化ストレスや炎症の亢進によるものと考えられている。

水素は治療目的での医療用ガスとしても利用されており、抗酸化作用をもち、組織における炎症を軽減する効果がある。

この研究では、水素を含有させた水(hydrogen-supplemented water)を飲用するという水素治療が放射線治療を受けている患者のQOL(生活の質)を改善できるかどうかを検討した。

方法:肝臓の悪性腫瘍に対して放射線治療を受けている49人を対象に、水素を含有させた水(hydrogen-rich water)を飲用する効果を検討するために、無作為プラセボ比較臨床試験を行った。

水素水は飲用水の中に金属マグネシウムの棒(metallic magnesium stick)を入れて作成した。最終的には水素濃度は0.55~0.65 mMであった。

患者の健康状態やQOL(生活の質)は欧州がん研究・治療機構(European Organization for Research and Treatment of CancerEORTC)が開発したEORTC-QLQ-C30の韓国版を用いて行った。

末梢血における活性酸素種の代謝産物の濃度や生物学的抗酸化能(biological antioxidant power)を測定した。

結果:水素水の6週間の飲用は血中における活性酸素代謝産物の量を減らし、血液の抗酸化能を維持した。水素の含有しない水(プラセボ)を飲用した群(対照群)に比べて、水素水を飲用した群では放射線治療中のQOLスコアが顕著に良好であった。

プラセボ群と水素水飲用群との間には、放射線治療の奏功率に違いは認めなかった。

結論:水素水の日常的な飲用は、放射線照射後のQOL(生活の質)を改善する方法として新規で治療効果の高い治療法であることが示された。
水素水の飲用は、放射線治療の抗腫瘍効果を弱めることなく、放射線照射によって引き起こされる酸化ストレスに対する生体応答を減弱させることができる。

 

(注)

放射線治療を受けると、倦怠感、吐気、食欲低下、うつ症状などの症状が急性期の副作用として現れます。照射した部分の皮膚には皮膚組織のダメージが起こります。また、時間がたってから現れる後遺症として、がんの発生中枢神経系や循環器の疾患白内障などがあります。

このような副作用や後遺症は照射した部位や量や照射法や治療を受けた人の放射線感受性の違いなどに左右されます。

これらは、放射線照射によって発生する活性酸素種による酸化ストレス炎症反応によって生じると考えられており、生活の質(QOLを低下させる要因になっています。

水素はヒドロキシラジカルを選択的に消去します。

水素水の飲用や水素ガスの吸入が動脈硬化、2型糖尿病、メタボリック症候群、老化やパーキンソン病などに伴う認知機能の低下などに対して有効な治療効果を示すことが報告されています。

この論文では、人間でのランダム化プラセボ対照比較臨床試験で、水素水の飲用が放射線治療中の患者の抗酸化能を高め、QOL(生活の質)の改善に効果があるという結果を報告しています。

この研究では、水素が0.55~0.65 mMの含有量の水素水を1日2000cc飲用しています。

プラセボとの比較では、倦怠感、抑うつ症状、睡眠、吐気、下痢には差を認めていませんが、食欲低下や味覚障害の改善効果は水素水の飲用で統計的に有意な改善を認めています。

副作用を軽減しても、抗腫瘍効果を妨げると意味がありません。そもそも放射線照射は細胞内や組織の水分子に放射線があたって発生するヒドロキシラジカルの細胞傷害作用でがん細胞を死滅させます。

したがって、ヒドロキシラジカルを消去する水素が抗腫瘍効果を妨げる可能性があります。この点については、水素水飲用群と対照群で放射線治療の奏功率で比較しています。

腫瘍の縮小の率(完全奏功と部分奏功)は水素水飲用群が50.0%、プラセボ群が48%で治療効果に違いは無いという結果でした。

また、水素水飲用による肝機能やその他の血液検査の異常は認められていません。

以上の結果から、放射線治療中に水素水を多く摂取することは、放射線治療の副作用を軽減し、放射線治療に伴うQOLの低下を予防する方法として有効であるという結論です。

 

メトロノミック・ケモテラピーで長期間生存した乳がん肝臓転移の症例報告。

f-gtc (2014年9月15日 09:20)

メトロノミック・ケモテラピーで長期間生存した乳がん肝臓転移の症例報告。

 

Long-term complete response in a patient with liver metastases from breast cancer treated with metronomic chemotherapy.(メトロノミック・ケモテラピーで治療した乳がんの肝臓転移の患者における長期間の完全奏功)Tumori. 100(3):79e-82e.2014 doi: 10.1700/1578.17238.

【要旨】

背景:幾つかの抗がん剤は低用量で使用すると血管系に作用する可能性が多くの研究で指摘されている。このレポートでは、メトロノミック・ケモテラピーによって長期間に渡ってがんの増殖を抑制できた症例を報告する。

症例提示:患者は62歳の女性で左側の乳がんに対して乳房切除が2007年7月に行われた。肝臓転移に対してファーストラインの抗がん剤治療としてドキソルビシンとパクリタキセルによる21日間サイクルの投与が行われた。6サイクルの治療後のCT検査では部分奏功を認めた。ドキソルビシンとパクリタキセルによる抗がん剤治療を中止し、シクロホスファミド(50mg/日経口)とメソトレキセート(2.5mg x 2/日、週2日)によるメトロノミック・ケモテラピーに変更した。この維持療法を開始してから6ヶ月後のCT検査で完全奏功を認めた。

患者の原発部位の病理検査で血管内皮増殖因子受容体2VEGFR2)の過剰発現を認めた。

メトロノミック・ケモテラピーはまだ継続中であるが、60ヶ月経過して現在も完全奏功の状態を維持している。

結論:この症例はメトロノミック・ケモテラピーが維持療法として有効であり、特に毒性(副作用)を認めずに長期間の治療が可能であることを示している。腫瘍におけるVEGFR2の発現量が多い場合は、メトロノミック・ケモテラピーによる血管新生阻害作用が奏功する可能性を示唆する。


(注)

完全奏功(complete response)というのは、がん組織が目に見えないレベルに縮小(消滅)することです。顕微鏡レベルで残っている可能性はありますが、がん組織が消滅した状態が続けば延命できます。

メトロノミック・ケモテラピーで著効を示した症例報告や、メトロノミック・ケモテラピーの有効性や通常の抗がん剤治療より有効であることを示す臨床試験の結果も得られています。

最大耐用量を投与する通常の抗がん剤治療は白血病やリンパ腫や精巣腫瘍のような一部のがんには有効ですが、肺がんや膵臓がんや乳がんなど多くの固形がんにはあまり効果がなく、副作用のデメリットの方が高いことが指摘されています。

最大耐用量を投与すると一時的にはがんが縮小しても、正常組織における修復反応と同様に、がん組織も傷を受けると炎症細胞の浸潤や血管新生が誘導されて、結果的にがん細胞の増殖が促進するからです。

標準治療の抗がん剤治療は一時的な縮小を目標にするため、長期の延命はむしろ犠牲にしている可能性があります。通常の抗がん剤治療は何もしないよりかは延命していますが、メトロノミック・ケモテラピーや副作用の少ない治療を組み合わせた治療よりも勝っているとはいえないという意見が増えています。

この論文で使用されているシクロホスファミド(50mg/日経口)とメソトレキセート(2.5mg x 2/日、週2日)を薬価ベースで計算すると1ヶ月分で約2000円です。この低用量のシクロホスファミド(商品名エンドキサン)とメソトレキセートと使ったメトロノミック・ケモテラピーをベースにして、さらに血管新生阻害、エネルギー産生阻害(グルコース取り込みや解糖系の阻害)、脂肪酸合成やメバロン酸経路の阻害、微小管重合阻害、抗炎症作用などの作用を持った薬などを併用すると、がんを縮小させることができます。

 

 (原文)

Tumori. 2014 May-Jun;100(3):e79-82. doi: 10.1700/1578.17238.

Long-term complete response in a patient with liver metastases from breast cancer treated with metronomic chemotherapy.

Cecconetto L, Casadei Gardini A, Tenti E, Maltoni R, Bravaccini S, Oboldi D, Zoli W, Serra P, Donati C, Sarti S, Amadori D, Rocca A.

Abstract

BACKGROUND:

Preclinical studies have shown that several chemotherapeutic agents at low doses may affect the vascular system. Here we report the case of a patient with long-term cancer control by metronomic chemotherapy.

CASE PRESENTATION:

A 62-year-old woman with breast cancer underwent a left mastectomy in July 2007. For a liver metastasis she was given first-line chemotherapy with doxorubicin plus paclitaxel every 21 days. A CT scan after the sixth cycle showed a partial response. It was decided to stop the treatment with doxorubicin and paclitaxel, and start metronomic therapy with cyclophosphamide 50 mg daily orally and methotrexate 2.5 mg twice daily, 2 days a week. After 6 months of this maintenance treatment, CT scan showed a complete response. We examined the expression of vascular endothelial growth factor receptor 2 (VEGFR2) in histological sections of the primary tumor of our patient, finding evidence of overexpression of the receptor. The metronomic treatment is still ongoing, and after 60 months the patient maintains a complete response.

CONCLUSION:

This clinical case highlights how suitable metronomic chemotherapy can be used as maintenance therapy, allowing long-term treatment with no significant toxicity. This case suggests that the level of VEGFR2 is predictive of best response to antiangiogenic therapy.

ビタミンDは大腸がん患者と乳がん患者の生存率を高める

f-gtc (2014年7月 6日 11:54)

ビタミンDは大腸がん患者と乳がん患者の生存率を高める

Serum 25-hydroxyvitamin D levels and survival in colorectal and breast cancer patients: systematic review and meta-analysis of prospective cohort studies.(結直腸がんと乳がん患者における血清25-ヒドロキシビタミンDの濃度と生存率の関係:前向きコホート研究の系統的レヴューとメタ解析)Eur J Cancer. 50(8):1510-21.2014

【要旨】
研究の目的:結腸直腸がんと乳がんの患者において、血清中の25-ヒドロキシビタミンD (25(OH)D)の濃度と生存率の間の関連があるかどうかを検討した。

方法:結腸直腸がんと乳がんの患者を対象にして、血清25(OH)D濃度と生存率の関連を検討した前向きコホート研究に関する文献の検索を行い、それらの結果を集計して統計的に解析し、ハザード比を求めた。

結果:結腸直腸がん患者を対象にした5つの臨床試験(患者総数2330人)と乳がん患者を対象にした5つの臨床試験(患者総数4413人)が、血清中の25(OH)Dのレベルを2〜5段階に分類して生存率を比較していた。
結腸直腸がん患者では、25(OH)Dレベルが最も低いグループに対して最も高いグループの全死因死亡率のハザード比は0.7195%信頼区間:0.55-0.91)、結腸直腸がんによる死亡率のハザード比は0.65 (95%信頼区間:0.49-0.86)であった。
乳がん患者では、25(OH)Dレベルが最も低いグループに対して最も高いグループの全死因死亡率のハザード比は0.6295%信頼区間:0.49-0.78)、乳がんによる死亡率のハザード比は0.58 (95%信頼区間:0.38-0.84)であった。

結論:結腸直腸がんの患者と乳がんの患者において、血清中の25(OH)Dの高値(>75nmol/L)は死亡率の低下と関連していた。血清

結腸直腸がん患者と乳がん患者において、診断時や治療の開始前に血清中の25(OH)Dレベルが低い(<50nmol/L)場合に、ビタミンDをサプリメントで補うことで生存率を改善できるかどうかを検討するランダム化比較対照試験を実施する必要がある。

(注)
もともと25-OHビタミンD3の血清濃度が高い人が、さらにサプリメントでビタミンD3を多く摂取してがん死亡率をさらに低下できるかどうかはまだデータがありません。しかし、25-OHビタミンD3の血清濃度が低い人(50 nmol/L以下)の場合はサプリメントでの補充は生存率を1.5倍から2倍くらいに高める可能性は高いようです25-OHビタミンD3の50nmol/L25ng/ml

原文:

Eur J Cancer. 2014 May;50(8):1510-21. doi: 10.1016/j.ejca.2014.02.006. Epub 2014 Feb 28.

Serum 25-hydroxyvitamin D levels and survival in colorectal and breast cancer patients: systematic review and meta-analysis of prospective cohort studies.

Abstract

AIM:

To estimate the association between serum 25-hydroxyvitamin D (25(OH)D) levels and survival among colorectal and breast cancer patients.

METHODS:

We performed a comprehensive literature search of prospective cohort studies assessing the association of serum 25(OH)D levels with survival in colorectal and breast cancer patients. Study characteristics and results were extracted and dose-response relationships were graphically displayed in a standardised manner. Meta-analyses using random effects models were performed to estimate pooled hazard ratios.

RESULTS:

The systematic search yielded five studies including 2330 colorectal cancer patients and five studies including 4413 breast cancer patients all of which compared mortality across two to five categories of 25(OH)D levels. Among colorectal cancer patients, pooled hazard ratios (95% confidence intervals) comparing highest with lowest categories were 0.71 (0.55-0.91) and 0.65 (0.49-0.86) for overall and disease-specific mortality, respectively. For breast cancer patients, the corresponding pooled estimates were 0.62 (0.49-0.78) and 0.58 (0.38-0.84), respectively. No significant evidence of heterogeneity between studies was observed.

CONCLUSION:

Higher 25(OH)D levels (>75nmol/L) were associated with significantly reduced mortality in patients with colorectal and breast cancer. Randomised controlled trials are needed to evaluate whether vitamin D supplementation can improve survival in colorectal and breast cancer patients with low vitamin D status (25(OH)D<50nmol/L) at diagnosis and before treatment.

メトホルミンは直腸がんの化学放射線療法の効き目を高める

f-gtc (2013年12月22日 15:29)

メトホルミンは直腸がんの化学放射線療法の効き目を高める

Metformin use and improved response to therapy in rectal cancer(メトホルミンは直腸がんの治療効果を高める)Cancer Med. 2(1): 99-107, 2013

【要旨】

原発部位が進行している直腸がんの場合は、手術前に化学放射線治療(chemoradiation)を行って腫瘍を縮小させてから全直腸間膜切除術(TMEtotal mesorectal excision)を行うことが多い。

メトホルミンが直腸がんの化学予防剤として有効である可能性や、直腸がんの治療効果を高める可能性が今までの多くの研究によって示唆されている。

そこで、この研究では、直腸がんの化学放射線治療の病理学的完全奏功率(pathologic complete response rates)と予後に対するメトホルミンの効果を検討した。

局所進行した直腸腺がんで1996年から2009年の間に化学放射線療法と全直腸間膜切除術を受けた482例のカルテを検証した。

放射線照射量の中央値は50.4Gy19.863 Gy)で、98%の患者は5-FUをベースにした抗がん剤の同時投与を受け、81.3%は放射線治療後に抗がん剤治療を受けた。

422例は非糖尿病患者で、40例は糖尿病がありメトホルミンを服用していない患者で、20例は糖尿病があってメトホルミンを服用していた。

この3つのグループの間には、がんの臨床的分類や、リンパ節転移の状況、肛門からの腫瘍の距離、がんの深達度、診断時の腫瘍マーカー(CEA)の値、がん細胞の分化度において差を認めなかった。

病理学的完全奏功(pathologic complete response)の率は、非糖尿病患者が16.6%、メトホルミンの投与を受けていない糖尿病患者が7.5%、メトホルミンを服用している糖尿病患者が35%であった。

メトホルミンを服用している糖尿病の患者のグループは、非糖尿病のグループ(p=0.03)と糖尿病でメトホルミンを服用していないグループ(p=0.007)と比べて、統計的有意に化学放射線治療の病理学的完全奏功率が高かった。

メトホルミンの併用は、単変量解析(p=0.05)と多変量解析(p=0.01)の療法の解析で、病理学的完全奏功率と統計的有意に相関していた。

さらに、メトホルミンを服用している糖尿病患者では、メトホルミンを服用していない糖尿病患者に比べて、無再発生存期間(p=0.013)と全生存期間(p=0.008)が統計的有意に長かった。

メトホルミンの服用は、直腸がんの術前化学放射線治療の病理学的完全奏功率を高め、生存期間を延長する効果が認められた。さらに前向き研究によって、このメトホルミンの効果を検証する必要がある。

 

(訳者注)

この論文は、米国のテキサス大学MDアンダーソンがん研究所からの研究報告です。

局所進行した直腸がんの場合、手術で切除する前に放射線治療と5-FUベースの抗がん剤治療の併用によって腫瘍を縮小させてから摘出手術を行うことが欧米では標準治療となっており、手術単独の場合にくらべて優れた治療成績が報告されています。日本でも術前の化学放射線療法を併用する所が増えています。

手術前に化学放射線治療を行って、手術で切除したがん組織を病理で検査すると、生きたがん細胞が見つからない(がんが完全に死滅している)場合があり、これを病理学的完全奏功(pathological complete response)といいます。
病理学的完全奏功が認められた患者さんは、再発率が低く、予後が極めて良いとこが明らかになっています。したがって、手術前の化学放射線療法(放射線治療と抗がん剤治療)の効果を高めるための抗がん剤の組み合わせの検討や、化学放射線療法の効き目を高める補助療法の検討が行われています。

この臨床試験は、過去に遡った後ろ向きの研究ですが、メトホルミンが直腸がんの化学放射線療法の効果を高めることが示されています。

通常、糖尿病があると、直腸がんや大腸がんの手術後の再発率が高くなることが、過去の疫学研究で示されています。さらに、直腸がんの術前化学放射線療法の効果も低いことが知られています。ある臨床試験では、直腸がんの術前化学放射線療法で病理学的完全奏功率が非糖尿病患者で23%に対して糖尿病患者では0%という結果が報告されています(Ann. Surg. Oncol. 2008;15:1931-1936)。

しかし、メトホルミンを服用している糖尿病患者は、メトホルミンを服用していない糖尿病患者だけでなく、糖尿病がない(したがってメトホルミンも服用していない)患者よりも、病理学的完全奏功の率が高かったという結果が得られており、メトホルミン自体に化学放射線療法の効果を高める作用を示唆しています。

直腸がんの術前化学放射線治療における病理学的完全奏功率は、今までの臨床試験では15%前後の数値が報告されています。この論文のデータでも非糖尿病のグループの病理学的完全奏功率は16.6%です。それに比べてメトホルミンを服用しているグループでは35%に増えています。

メトホルミンはミトコンドリアの呼吸酵素を阻害してATP産生を阻害し、AMP依存性プロテインキナーゼを活性化する作用があり、その他にも複数の抗腫瘍効果が報告されています。

がん細胞のエネルギー産生を抑制することは抗がん剤や放射線の治療効果を高める方法として有効であることは十分に理解できると思います。

メトホルミンは糖尿病の治療薬ですが、インスリン感受性を高めてインスリンの分泌を減らす作用(少ないインスリン量で血糖をコントロールできるようにする作用)であるため、糖尿病がなくても服用できます。

最近は糖尿病が無いがん患者にメトホルミンを投与して抗がん剤の効き目を高めるを作用を認めたという報告もあります。

抗がん剤や放射線治療の補助療法としてメトホルミンの併用は有用と言えそうです。

 

(原文)

Cancer Med. 2013 Feb;2(1):99-107. doi: 10.1002/cam4.54. Epub 2013 Feb 3.

Metformin use and improved response to therapy in rectal cancer.

Skinner HD, Crane CH, Garrett CR, Eng C, Chang GJ, Skibber JM, Rodriguez-Bigas MA, Kelly P, Sandulache VC, Delclos ME, Krishnan S, Das P.

Author information

 

 

Abstract

Locally advanced rectal cancer is commonly treated with chemoradiation prior to total mesorectal excision (TME). Studies suggest that metformin may be an effective chemopreventive agent in this disease as well as a possible adjunct to current therapy. In this study, we examined the effect of metformin use on pathologic complete response (pCR) rates and outcomes in rectal cancer. The charts of 482 patients with locally advanced rectal adenocarcinoma treated from 1996 to 2009 with chemoradiation and TME were reviewed. Median radiation dose was 50.4 Gy (range 19.8-63). Nearly, all patients were treated with concurrent 5-fluorouracil-based chemotherapy (98%) followed by adjuvant chemotherapy (81.3%). Patients were categorized as nondiabetic (422), diabetic not taking metformin (40), or diabetic taking metformin (20). No significant differences between groups were found in clinical tumor classification, nodal classification, tumor distance from the anal verge or circumferential extent, pretreatment carcinoembryonic antigen level, or pathologic differentiation. pCR rates were 16.6% for nondiabetics, 7.5% for diabetics not using metformin, and 35% for diabetics taking metformin, with metformin users having significantly higher pCR rates than either nondiabetics (P = 0.03) or diabetics not using metformin (P = 0.007). Metformin use was significantly associated with pCR rate on univariate (P = 0.05) and multivariate (P = 0.01) analyses. Furthermore, patients taking metformin had significantly increased disease-free (P = 0.013) and overall survival (P = 0.008) compared with other diabetic patients. Metformin use is associated with significantly higher pCR rates as well as improved survival. These promising data warrant further prospective study.

ケトン食は酸化ストレスを高めて肺がんの放射線化学療法の効果を高める

f-gtc (2013年8月31日 12:23)

ケトン食は酸化ストレスを高めて肺がんの放射線化学療法の効果を高める

Ketogenic diets enhance oxidative stress and radio-chemo-therapy responses in lung cancer xenografts.(ケトン食は移植肺がんの実験モデルにおいて、酸化ストレスと放射線化学療法の奏功率を高める)Clin Cancer Res. 2013 Jul 15;19(14):3905-13.


【要旨】
目的:ケトン食は脂肪が多く、糖質とタンパク質が少ない食事で、細胞のエネルギー(ATP)供給源を解糖系からではなく、脂肪酸の酸化とミトコンドリアでの呼吸によるATP産生を強制する食事である。

正常細胞に比べてがん細胞は、ミトコンドリアでの代謝によって慢性的な酸化ストレスの状態にあると考えられている。本研究では、移植肺がんの動物実験モデルを用いて、「ケトン食が酸化ストレスを高めることによって放射線化学療法(radio-chemo-therapy)の奏功率を高める」という仮説を検証した。

実験方法: NCI-H292A5492種類の肺がん細胞株を移植したマウスを通常食かケトン食(脂肪:タンパク質+糖質のカロリー比が4:1)で飼育し、通常の分割照射(1回1.82グレイ)か少分割照射(1回6グレイ)か通常の分割照射にカルボプラチンを併用した治療を行った。

マウスの体重と腫瘍のサイズを測定した。腫瘍組織の酸化ストレスのレベルは過酸化脂質生成物のヒドロキシノネナールで修飾されたタンパク質の量で、細胞増殖の程度はPCNAproliferating cell nuclear antigen:増殖性細胞核抗原)の量で、DNAダメージの程度はリン酸化ヒストンH2AX(γH2AX)の量で、それぞれ評価した。

結果:NCI-H292細胞とA549細胞を移植したマウスの両方において、放射線治療単独群に比べて、放射線治療とケトン食を併用した群の方が、腫瘍の増殖速度はより低下した(P < 0.05)。
放射線治療とカルボプラチンの化学療法を併用した場合も、ケトン食を与えた群の方が通常食(コントロール)群より腫瘍の増殖速度が低下した。放射線治療とケトン食を併用したマウスの腫瘍組織では、ヒドロキシノネナールで修飾されたタンパク質の量で測定される脂質酸化による酸化障害の程度が高く、PCNAの免疫染色で評価される細胞増殖のレベルは低下した。

結論:これらの実験結果は、肺がんを移植したマウスの実験系において、ケトン食は酸化ストレスを高めることによって、放射線化学療法の効果を高めることを示している。

 

【原文】

Clin Cancer Res. 2013 Jul 15;19(14):3905-13. doi: 10.1158/1078-0432.CCR-12-0287. Epub 2013 Jun 6.

Ketogenic diets enhance oxidative stress and radio-chemo-therapy responses in lung cancer xenografts.

Allen BG, Bhatia SK, Buatti JM, Brandt KE, Lindholm KE, Button AM, Szweda LI, Smith BJ, Spitz DR, Fath MA.

Source

Authors' Affiliations: Free Radical and Radiation Biology Program, Department of Radiation Oncology, Holden Comprehensive Cancer Center and Department of Biostatistics, College of Public Health, The University of Iowa, Iowa City, Iowa; and Oklahoma Medical Research Foundation, Oklahoma City, Oklahoma.

Abstract

PURPOSE:

Ketogenic diets are high in fat and low in carbohydrates as well as protein which forces cells to rely on lipid oxidation and mitochondrial respiration rather than glycolysis for energy metabolism. Cancer cells (relative to normal cells) are believed to exist in a state of chronic oxidative stress mediated by mitochondrial metabolism. The current study tests the hypothesis that ketogenic diets enhance radio-chemo-therapy responses in lung cancer xenografts by enhancing oxidative stress.

EXPERIMENTAL DESIGN:

Mice bearing NCI-H292 and A549 lung cancer xenografts were fed a ketogenic diet (KetoCal 4:1 fats: proteins+carbohydrates) and treated with either conventionally fractionated (1.8-2 Gy) or hypofractionated (6 Gy) radiation as well as conventionally fractionated radiation combined with carboplatin. Mice weights and tumor size were monitored. Tumors were assessed for immunoreactive 4-hydroxy-2-nonenal-(4HNE)-modified proteins as a marker of oxidative stress as well as proliferating cell nuclear antigen (PCNA) and γH2AX as indices of proliferation and DNA damage, respectively.

RESULTS:

The ketogenic diets combined with radiation resulted in slower tumor growth in both NCI-H292 and A549 xenografts (P < 0.05), relative to radiation alone. The ketogenic diet also slowed tumor growth when combined with carboplatin and radiation, relative to control. Tumors from animals fed a ketogenic diet in combination with radiation showed increases in oxidative damage mediated by lipid peroxidation as determined by 4HNE-modified proteins as well as decreased proliferation as assessed by decreased immunoreactive PCNA.

CONCLUSIONS:

These results show that a ketogenic diet enhances radio-chemo-therapy responses in lung cancer xenografts by a mechanism that may involve increased oxidative stress. Clin Cancer Res; 19(14); 3905-13. ©2013 AACR.

漢方治療(中医薬治療)は肺がんの抗がん剤治療の効果を高める

f-gtc (2013年7月15日 07:36)

漢方治療(中医薬治療)は肺がんの抗がん剤治療の効果を高める


The efficacy of Chinese herbal medicine as an adjunctive therapy for advanced non-small cell lung cancer: a systematic review and meta-analysis.(進行非小細胞性肺がんの補助療法として中医薬治療の有効性:系統的レビューとメタ解析)PLoS One. 2013;8(2):e57604. 

【要旨】

進行した非小細胞性肺がんの治療において、標準治療と補完・代替医療との併用、特に中医薬治療(Chinese herbal medicine)の併用に関して多くの研究が行われている。しかし、その有効性に関しては十分に検討されていない。

この研究の目的は、進行した非小細胞性肺がんの治療において、標準的な抗がん剤治療に中医薬治療を併用した場合の有効性を評価することにある。

11のデータベースを検索し、条件に合う24の臨床試験を選び出した。これらの臨床試験に含まれる2109人の患者のデータを解析した。2109人のうち、1064人は抗がん剤治療と中医薬の併用による治療を受け、1039人は抗がん剤治療のみを受けた(6人の患者は脱落した)

抗がん剤治療単独群に比べて、抗がん剤と中医薬を併用した群は1年生存率が著明に向上した。(相対比=1.36, 95% 信頼区間=1.15-1.60, p=0.0003. その他に、併用群では奏功率 (相対比=1.36, 95% 信頼区間=1.19-1.56, p<1.0E-5) や、カルノフスキー・パフォーマンス・スコア (Karnofsky performance score)で評価した全身状態の改善の率(相対比=2.90, 95% 信頼区間=1.62-5.18, p=0.0003)も向上した. 一方、副作用に関しては、併用群で著明な軽減が認められた。例えば、グレード3〜4の吐き気や嘔吐の頻度は併用群で顕著に低減した (相対比=0.24, 95%信頼区間=0.12-0.50, p=0.0001) 。ヘモグロビンや血小板の減少の頻度も併用群では低下した。

さらに、この研究では、非小細胞性肺がんに高頻度に使用される生薬が同定された。

この系統的レヴューは、進行した非小細胞性肺がんの治療において、中医薬治療は抗がん剤治療の補助療法として有用で、抗がん剤の副作用を軽減し、生存率を向上し、抗がん剤による腫瘍の縮小効果(奏功率)を高め、全身状態を良くする効果があることが示された。

しかしながら、今回検討したランダム化比較臨床試験の多くは小規模なものばかりで、大規模なランダム化試験は含まれていないので、今後はさらに大規模な臨床試験の実施が必要である。

 

【コメント】

非小細胞性肺がんに高頻度に使用される生薬としては、黄蓍(オウギ)、南沙参(ナンシャジン)、麦門冬(バクモンドウ)、甘草(カンゾウ)、茯苓(ブクリョウ)、白花蛇舌草(ビャッカジャゼツソウ)、天門冬(テンモンドウ)、桃仁(トウニン)、田七人参(デンシチニンジン)が挙げられています。その薬効から予想されるものです。

このメタ解析の元になった臨床試験は全て中国で実施されたもので、24の臨床試験で2100人程度のデータを集めているので、一つの臨床試験の規模は平均で100人弱なので、小規模と言わざるを得ません。

メタ解析(メタアナリシス:meta-analysis)とは、過去に行われた複数の研究結果を統合し、統計的に総合評価を行う方法です。一つ一つの研究では症例数が少なくて統計的に差がでなくても、そのような研究データをまとめて統計的に処理すれば、より信頼性の高い結果が得られます。

一般的に、メタ解析で有効性が示されれば、かなりエビデンスが高いという評価になります。しかし、大規模なランダム化試験で有意な結果がでなければ、確定とは言えません。

しかし、抗がん剤治療に漢方薬や中医薬を併用しても、悪い結果になる可能性は低く、むしろ良い効果が得られると言えます。

 

(原文)

PLoS One. 2013;8(2):e57604. doi: 10.1371/journal.pone.0057604. Epub 2013 Feb 28.

The efficacy of Chinese herbal medicine as an adjunctive therapy for advanced non-small cell lung cancer: a systematic review and meta-analysis.

Li SG, Chen HY, Ou-Yang CS, Wang XX, Yang ZJ, Tong Y, Cho WC.

Source

Graduate School, Guangzhou University of Chinese Medicine, Guangzhou, China.

Abstract

Many published studies reflect the growing application of complementary and alternative medicine, particularly Chinese herbal medicine (CHM) use in combination with conventional cancer therapy for advanced non-small cell lung cancer (NSCLC), but its efficacy remains largely unexplored. The purpose of this study is to evaluate the efficacy of CHM combined with conventional chemotherapy (CT) in the treatment of advanced NSCLC. Publications in 11 electronic databases were extensively searched, and 24 trials were included for analysis. A sum of 2,109 patients was enrolled in these studies, at which 1,064 patients participated in CT combined CHM and 1,039 in CT (six patients dropped out and were not reported the group enrolled). Compared to using CT alone, CHM combined with CT significantly increase one-year survival rate (RR = 1.36, 95% CI = 1.15-1.60, p = 0.0003). Besides, the combined therapy significantly increased immediate tumor response (RR = 1.36, 95% CI = 1.19-1.56, p<1.0E-5) and improved Karnofsky performance score (KPS) (RR = 2.90, 95% CI = 1.62-5.18, p = 0.0003). Combined therapy remarkably reduced the nausea and vomiting at toxicity grade of III-IV (RR = 0.24, 95% CI = 0.12-0.50, p = 0.0001) and prevented the decline of hemoglobin and platelet in patients under CT at toxicity grade of I-IV (RR = 0.64, 95% CI = 0.51-0.80, p<0.0001). Moreover, the herbs that are frequently used in NSCLC patients were identified. This systematic review suggests that CHM as an adjuvant therapy can reduce CT toxicity, prolong survival rate, enhance immediate tumor response, and improve KPS in advanced NSCLC patients. However, due to the lack of large-scale randomized clinical trials in the included studies, further larger scale trials are needed.

カプリル酸中性脂肪とケトン食は筋萎縮性側索硬化症の進行を遅くする

f-gtc (2013年5月12日 07:50)

カプリル酸中性脂肪とケトン食は筋萎縮性側索硬化症の進行を遅くする

 

Caprylic Triglyceride as a Novel Therapeutic Approach to Effectively Improve the Performance and Attenuate the Symptoms Due to the Motor Neuron Loss in ALS Disease(筋萎縮性側索硬化症における運動機能の効果的な改善と運動神経細胞の死滅による症状の緩和の為の新しい治療法としてのカプリル酸トリグリセリド)PLoS One. 2012; 7(11): e49191.

米国ニューヨーク州のマウントサイナイ医科大学(Mount Sinai School of Medicine)の神経科からの報告です。

【要旨】

筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis ALS) は運動神経細胞の変性による進行性の筋萎縮や麻痺が起こり、最終的には死に至る病気である。ALS患者における進行性の筋力低下や衰弱は生活の質(QOL)を悪くし、日常生活の活動を制限する。

ALS患者の脊髄においては、ミトコンドリアにおける電子伝達系の酵素の活性が低下しているためにエネルギー産生に障害がある。したがって、ミトコンドリアの機能を改善する方法はALSの治療法として可能性がある。

マウスのALSの実験モデルであるG93A ALSマウスにケトン食を投与すると、血清ケトン体の上昇に伴って、筋力低下の進行が著明に遅くなり、死亡率も低下した。

この実験では、ケトン体に代謝されて神経細胞のエネルギー源として利用される中鎖脂肪酸トリグリセリドのカプリル酸トリグリセリド(カプリル酸中性脂肪)をSOD1-G93Aマウスに投与した。

カプリル酸中性脂肪の投与によって、SOD1-G93Aマウスにおける筋力低下の進行は遅くなり、脊髄の運動神経の死滅は減少した。その結果、このALSマウスにおいて、生存期間に関しては明らかな差(メリット)は認めなかったが、運動能力の著明な改善が認められた。

カプリル酸中性脂肪は生体内においてミトコンドリアにおける酸素消費率を促進した。

カプリル酸中性脂肪が、ALSの発症時においてエネルギー代謝を改善することによってALS型の運動神経障害を緩和することが我々の実験によって示された。これらの結果は、ALS患者のQOLの改善において、カプリル酸の投与が簡単で有効性の高い治療法であることを示唆している。

 

(コメント)

筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、通称ALS)は、運動神経細胞の進行性の死滅によって、筋肉の萎縮と筋力低下が起こり、発症後3〜5年程度で呼吸筋麻痺により死亡する(人工呼吸器の装着による延命は可能)神経変性疾患です。治癒のための有効な治療法は確立されていません。

カプリル酸(caprylic acid)は炭素数8個の中鎖脂肪酸で、分子式はC8H16O2です。神経細胞はグルコース(ブドウ糖)とケトン体しかエネルギー源として利用できないのですが、中鎖脂肪酸はケトン体の産生を増やすので、神経組織のエネルギー産生を改善できます。その他にも、ケトン体にはエピジェネティックな遺伝子発現調節作用の関与や、抗炎症・抗酸化・抗アポトーシスの機序による神経細胞保護作用も指摘されています。

米国では中鎖脂肪酸トリグリセリド(中鎖脂肪酸中性脂肪)のカプリル酸トリグリセリドがアルツハイマー病の治療に有効な医療食( medical food) として認可されています(2009年3月にFDAが認可)。
この論文では、カプリル酸中性脂肪は、ALSの症状の改善にも有効である可能性を示唆しています。
カプリル酸中性脂肪を多く摂取し、糖質を制限して血中のケトン体値を十分に高めれば、ALSの進行をさらに抑えることができると思います。

【原文】

PLoS One. 2012; 7(11): e49191.

Published online 2012 November 7. doi:  10.1371/journal.pone.0049191

PMCID: PMC3492315

Caprylic Triglyceride as a Novel Therapeutic Approach to Effectively Improve the Performance and Attenuate the Symptoms Due to the Motor Neuron Loss in ALS Disease

Abstract

Amyotrophic lateral sclerosis (ALS) is a neurodegenerative disorder of motor neurons causing progressive muscle weakness, paralysis, and finally death. ALS patients suffer from asthenia and their progressive weakness negatively impacts quality of life, limiting their daily activities. They have impaired energy balance linked to lower activity of mitochondrial electron transport chain enzymes in ALS spinal cord, suggesting that improving mitochondrial function may present a therapeutic approach for ALS. When fed a ketogenic diet, the G93A ALS mouse shows a significant increase in serum ketones as well as a significantly slower progression of weakness and lower mortality rate. In this study, we treated SOD1-G93A mice with caprylic triglyceride, a medium chain triglyceride that is metabolized into ketone bodies and can serve as an alternate energy substrate for neuronal metabolism. Treatment with caprylic triglyceride attenuated progression of weakness and protected spinal cord motor neuron loss in SOD1-G93A transgenic animals, significantly improving their performance even though there was no significant benefit regarding the survival of the ALS transgenic animals. We found that caprylic triglyceride significantly promoted the mitochondrial oxygen consumption rate in vivo. Our results demonstrated that caprylic triglyceride alleviates ALS-type motor impairment through restoration of energy metabolism in SOD1-G93A ALS mice, especially during the overt stage of the disease. These data indicate the feasibility of using caprylic acid as an easily administered treatment with a high impact on the quality of life of ALS patients.

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