がんの補完医療

がんの標準治療(手術、抗がん剤、放射線治療)は、正常な組織や臓器にもダメージを与え、体力や免疫力を低下させる欠点を持っています。耐えがたい副作用により死期を早めたり、がんの再発を促進することもあります。
体力や抵抗力が低下していると、手術後の回復が遅れたり、術後感染症などの合併症を併発しやすくなります。

抗がん剤治療や放射線治療は、がん細胞を直接死滅させることを目標とする治療法で、その効果が十分に発揮できれば、腫瘍を縮小し消滅させることができます。しかし、抗がん剤や放射線は正常細胞にもダメージを与えるため、その副作用によって十分な治療が行えなくなることがあります。また、抗がん剤治療を行っているうちに次第にがん細胞が抗がん剤に耐性(抵抗性)を獲得して、効き目が弱くなってくることもあります。

がん治療における問題の多くは、「固形がんに対する抗がん剤治療の有効性が低い」ことと「正常細胞にもダメージを与えて強い副作用を引き起こす」ことに起因していて、これを解決することが、がんの補完・代替医療の最大の目的になっています。 「抗がん剤は効かない、副作用が強い」と否定や批判するより、「抗がん剤が効く方法や副作用を軽減する方法を見つける」ことがより建設的だと思います。

抗がん剤や放射線の副作用を緩和する治療や、がん細胞の抗がん剤に対する耐性獲得を阻止して抗がん剤感受性を高める方法は、がん治療の効果を高めることができます。転移を伴うステージ4の進行がんでも、抗がん剤治療とがん細胞の抗がん剤感受性を高める方法を組み合わせれば、根治させることも不可能ではありません(具体例はこちらへ)。

残念ながら、西洋医学には 抗がん力 (がんに対する抵抗力や治癒力)を高めるという考え方や有効な手段はありません。体の栄養状態や体力を増強して、免疫力や抗酸化力など体の抵抗力を高めることは、攻撃的治療の副作用を軽くするだけでなく、治療効果を高めることができます。がんの補完医療とは、標準治療の副作用の軽減や抗腫瘍効果を高めることを目的とした治療法です。

補完医療について

漢方治療やサプリメントや健康食品などを利用した補完医療は、体の抵抗力や治癒力を高めることにより、標準治療の欠点や足りないところを補うことができます。がんを攻撃する西洋医学の治療法と、体の抗がん力を高める補完医療を併用することによってがん治療のレベルを高めることができます。

がん治療中は、栄養状態を良くし、体力や免疫力や回復力を高めることが大切です。
免疫力や抗酸化力などがんに対する抵抗力(抗がん力)を高める目的で、漢方薬や健康食品やサプリメントが数多く販売されていますが、これらの中には誇張した宣伝が行われていたり、極めて高価なものが多くあります。銀座東京クリニックでは、安価で抗腫瘍効果の高いものを使用することを目標にしています。
抗がん剤治療の副作用を軽減し、さらに抗腫瘍効果を高める薬やサプリメントとして以下のようなものが有用です。これらは有効性を示す科学的根拠が十分にあり、副作用がなく、しかも比較的安価ですので、抗がん剤治療の補完療法として試す価値は十分にあります。
ご希望の方はメール(info@f-gtc.or.jp)か電話(03-5550-3552)でお問い合わせ下さい。

○ がん細胞の抗がん剤感受性を高める方法についてはこちらへ
○ 抗がん剤治療と免疫療法の効き目を高めるアルカリ療法についてはこちらへ
○ 放射線治療と抗がん剤治療の効き目を高める酸素ナノバブル水についてはこちらへ

当院では、以下に紹介するようなサプリメントを含め、多数の補完・代替療法を実践しています。それぞれの治療法の根拠や有効性を示すために、このホームページ内で詳しく解説しています。しかし、がんの種類や進行度や治療の状況によって最適な治療法は異なります。それぞれの治療法を理解し、自分に合った治療法を選択することは、患者さんには困難だと思います。
現在の病状や治療の状況をメール(info@f-gtc.or.jp)か電話(03-5550-3552)かファックス(03-3541-7577)でお知らせいただければ、適した治療法について全て院長(福田一典)がお答えします。ご来院いただければ、詳しくご説明いたします。

メラトニンの画像メラトニン
免疫力と抗酸化力を高めます。放射線治療や抗がん剤治療の副作用を緩和し、抗腫瘍効果を高めることが臨床試験で確かめられています。進行がんに対して、がん性悪液質を改善して延命効果を発揮します。
がん治療には1日20~40mg、再発予防には1日10mgを摂取します。
10mg / 60錠:5,000円(消費税込み) / 20mg / 60錠:9,000円(消費税込み)米国製のサプリメントです。

【作用機序と有効性の根拠】
メラトニンはヒトの体内時計を調節するホルモンとして知られています。暗くなると体内のメラトニンの量が増えて眠りを誘います。快適な睡眠をもたらし、時差ぼけを解消するサプリメントとして評判になり、さらに免疫力や抗酸化力を高める効果や抗老化作用も報告されています。
睡眠障害や時差ぼけには1~3mg程度のメラトニンがサプリメントとして使用されますが、一日に20~40mgくらいの多い量を使用するとがんにも効果があることが数多くの研究で明らかになっています。
メラトニンは免疫力や抗酸化力を高めてがんに対する抵抗力を増強するだけでなく、がん細胞自体に働きかけて増殖を抑える効果も報告されています。
メラトニンは、前立腺がんや乳がんや肺がんなど多くのがんに有効という臨床試験の結果も報告されています。手術後の傷の治りを促進し、抗癌剤や放射線治療の効果を高め、副作用を軽減する効果も報告されています。
ガンマ・インターフェロンなどの多くのサイトカインの産生を調節することによってナチュラルキラー細胞やリンパ球などの免疫細胞を活性化し、がん細胞に対する免疫力を高める効果があります。

  • メラトニンは培養細胞を使った研究で、乳がん細胞のp53蛋白(がん抑制遺伝子の一種)の発現量を増やし、がん細胞の増殖を抑制することが報告されています。
  • シスプラチン治療を受けている非小細胞肺癌の63例が、1日10mgのメラトニンを摂取するか、保存的治療のみかの群にランダムに分けられて効果の検討が行われています。 保存的治療のみの患者の平均生存期間が3ヶ月であったのに対して、メラトニンを服用した患者の平均生存期間は6ヶ月であり、1年以上生存した患者は、保存的治療のみが32例中2例であったのに対して、メラトニン服用者では32例中8例でした。
  • ホルモン療法(タモキシフェン)を受けている進行した乳がん患者において、1日20mgのメラトニンの服用に延命効果があることが報告されています。ホルモン依存性の乳がんの治療のあと、再発予防の目的で抗エストロゲン剤のタモキシフェンなどが投与されますが、1日20mgのメラトニンはその再発予防効果を高める効果が期待できます。
    乳がんの発生や再発に、体内のメラトニンの量が関連していることが報告されています。(詳しくはこちらへ
    その他、メラトニンの抗がん作用は脳腫瘍における放射線治療や、肺がんや大腸がんなど、数多くの臨床試験で報告されています。

【服用上の注意点】
抗がん剤や放射線治療やホルモン療法と併用する場合は、1日10~20mg程度を服用します。進行がんの治療では1日40mg程度の使用も報告されています。
メラトニンを服用すると眠くなるため、日中の服用は避けます。
免疫細胞を活性化するため免疫系統の悪性腫瘍(白血病やリンパ腫)では服用しない方が良いと言われています。自己免疫疾患の人はメラトニンの摂取を控えるのが賢明です。ワーファリン服用中の方はメラトニンは服用できません。ワーファリンの効き目に影響する可能性が報告されています。
妊婦や授乳中の女性や子供はメラトニンの使用できません。

【費用】
メラトニン10mg、60カプセル入り1個が5,000円(税込み)、メラトニン20mg、60カプセル入り1個が9,000円(税込み)です。いずれも米国製で、化学合成したメラトニンです。
抗がん剤治療との併用では1日20mgを服用しますので、1ヶ月分が5,000円になります。

DHA/EPAの画像DHA/EPA
ドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)は魚油に多く含まれるオメガ3系不飽和脂肪酸で、様々な抗がん作用が知られています。抗がん剤治療の抗腫瘍効果を高めます
1袋でDHA 24.3g EPA 5.4gを摂取出来ます。300mg×300粒入 3,500円(消費税込み)

【作用機序と有効性の根拠】
DHA(docosahexaenoic acid;ドコサヘキサエン酸)EPA(eicosapentaenoic acid;エイコサペンタエン酸)は魚油に多く含まれているオメガ3系多価不飽和脂肪酸です。
プロスタグランジンE2(PGE2)という生理活性物質が増えすぎるとがん化しやすく進行も速まることがわかっています。
PGE2は細胞の増殖や運動を活発にしたり、細胞死が起こりにくくする生理作用があるため、がん細胞の増殖や転移を促進します。PGE2はオメガ6系不飽和脂肪酸はリノール酸から合成され、DHAなどのオメガ3系不飽和脂肪酸はPGE2が体内で増えるのを抑える働きがあります。
このように、脂肪酸の代謝産物は細胞内のシグナル伝達系に作用してがん遺伝子やがん抑制遺伝子の働きに影響を及ぼします。そして一般的に、DHAやEPAのようなオメガ3系脂肪酸はがん細胞の増殖速度を遅くしたり転移を抑制し、腫瘍血管新生を阻害し、がん細胞に細胞死(アポトーシス)を引き起こすことなどが多くのがん細胞で示されています。
例えば、米国健康財団のローズ博士らは、ヒト乳がん細胞をヌードマウスに移植した動物実験で、DHAは腫瘍血管の新生を阻害して増殖を抑制し、がん細胞の肺への転移を防ぐことを報告しています。プロスタグランジンE2は血管新生を促進するので、プロスタグランジンE2産生を阻害するDHAには腫瘍血管の新生を阻害するようです。
さらに、DHA/EPAを補充すると、進行がんの体重減少や食欲不振などの悪液質を改善する効果や、抗がん剤の副作用を軽減し抗腫瘍効果を高めることが報告されています。
DHAやEPAといったオメガ3不飽和脂肪酸を多く摂取する食餌療法で、腫瘍が縮小したという症例も報告されています。

【注意点】
DHA/EPAを過剰に摂取すると血小板凝集を阻害して血液が固まりにくくなります。この作用は心筋梗塞や脳梗塞を予防する効果と関連していますが、手術前や、抗がん剤治療によって血小板が減少する場合には注意が必要です。
進行がんの治療の目的では1日5g以上の摂取を試す場合もありますが、手術前や抗がん剤治療中は1日2gくらいまでに止めておくのが無難です。
食事で動物性脂肪の多い食品を多く食べると、せっかくDHA/EPAをサプリメントで摂取しても抗腫瘍効果が減弱しますので、食事にも注意が必要です。

【服用法と費用】
DHA/EPA(300粒入り)は1日10粒でDHA810mg、EPA180mgの計990mgを摂取できます。
1日10~20粒を服用するとDHA/EPAを合わせて1日1~2gになり、丁度良い摂取量になります。
300粒入り1個が3500円(税込み)です。1ヶ月分は1日10粒で3500円、1日20粒で7000円になります。

R体-αリポ酸&セレンの画像R体-αリポ酸&セレン
通常のラセミ型のαリポ酸より生物活性の高いR体-αリポ酸のみを使用しています。
R体-αリポ酸をγ-シクロデキストリンで包接することによって、光や熱や胃酸に対する安定性と生体利用能(消化管からの吸収性と血中での持続性)を高めています。グルタチオン・ペルオキシダーゼやチオレドキシン還元酵素などの抗酸化酵素の活性に必要なセレンを1日量60μg含有しています。さらに、治癒力を高める様々な酵素の活性に必要なミネラルである亜鉛を1日量10mg含有しています。アルファリポ酸とセレンと亜鉛の相乗効果で、抗酸化力と免疫力と解毒力を増強します。
1ヶ月分(60カプセル)5000円(税込み)

【作用機序と有効性の根拠】
アルファリポ酸(α-lipoic acid、別名:チオクト酸)の摂取は、がんの発生や再発の予防、がん細胞の増殖抑制とアポトーシス(細胞死)誘導、がんの悪性進展の抑制、などの効果が報告されています。以下のような作用機序が報告されています。
1) 酸化ストレスや炎症によって活性化される転写因子のNF-κBは、がん細胞の増殖や抗がん剤抵抗性を促進します。アルファリポ酸は強い抗酸化作用によってNF-κBの活性を低下させ、がん細胞の増殖を抑え、抗がん剤が効きやすくする効果があります。
2)細胞周期において増殖を促進する蛋白質の活性や量を低下させます。さらに、アポトーシスを阻害する因子(bcl-2)の発現を抑え、アポトーシスを促進する因子(bax)の発現を高め、アポトーシスを実行するチトクロームCやAIF(apoptosis inducing factor)のミトコンドリアから核への移行を促進します。これらの複数の機序によって、がん細胞の増殖を止め、アポトーシス(細胞死)を起こりやすくします。
3) がん細胞はミトコンドリアでの酸化的リン酸化の活性が低下しているために、アポトーシスが起こりにくくなっているという考えがあります。アルファリポ酸はTCAサイクルのピルビン酸脱水素酵素複合体とアルファケトグルタル酸脱水素酵素複合体を活性化してミトコンドリアの酸化的リン酸化を高める作用があり、その結果、がん細胞を死にやすくすることが報告されています。
4) 抗がん剤による神経障害や腎臓障害などの副作用の軽減作用や症状の改善効果が報告されています。抗がん剤(ドセタキセル+シスプラチン)による末梢神経障害を軽減する効果が報告されています。ドキソルビシンの心臓障害を軽減する効果が報告されています。
セレンには抗酸化力や免疫力の増強だけでなく、がん細胞のシグナル伝達系に作用して、細胞増殖を抑え、細胞死(アポトーシス)を誘導する効果があることも報告されています。DNA修復酵素の発現を高める効果も報告されています。抗酸化力を増強するため、がんの化学療法や放射線療法の毒性を軽減し、がん治療の効果を高めることも期待できます。
亜鉛は300以上の酵素の活性に必要です。亜鉛を必要とする酵素は、DNAの複製(細胞の分裂・増殖)や遺伝子の発現(DNAの遺伝情報から蛋白質を作りだす)など、生命活動の基本として働くものが多く、さらにDNAの修復や活性酸素の除去などに働く酵素にも関与しているので、老化やがんの予防に重要なミネラルと言えます。
アルファリポ酸とセレンと亜鉛の相乗効果によって、抗酸化力と免疫力を高め、抗がん剤や放射線治療の副作用を軽減し、抗腫瘍効果を高めます。 低用量ナルトレキソン療法と併用することによって、抗がん作用を高めることができます。(詳しくはこちらへ

【服用上の注意点】
食後の服用はアルファリポ酸の吸収を低下させるので、通常、食事の1~2時間前の服用が推奨されています。ただし、γ-シクロデキストリンで包接したαリポ酸は食後でも吸収が高いという利点があります。血糖を低下させる作用があるので、血糖降下剤を服用中は注意が必要です

【費用】
1ヶ月分(60カプセル)5000円(税込み)

AveULTRAの画像AveULTRA
米国, アメリカン・バイオサイエンス社(American BioSciences Inc)社製
30包入り(1包当たりAvemarを5.5g含有)
価格:27000円(税込み)

Avemar(アヴェマー)発酵小麦胚芽抽出エキス(Fermented Wheat Germ Extract)を主成分としたサプリメントの商品名(登録商標)です。
発酵小麦胚芽抽出エキスは小麦胚芽をサッカロマイセス セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)という酵母菌(パン酵母)で発酵し、その発酵物の濾過液をフリーズドライ(Freeze dry)法で乾燥して粉末にしたものです。
がん患者さん向けの栄養補助食品として世界中で販売されていますが、その抗がん作用に関する基礎研究および臨床試験が広範に行われ、レベルの高い学術論文が多数発表されています。
ヨーロッパの国々では、Avemarは『Dietary Food for Special Medical Purposes or for Cancer Patients(特殊な医療用途あるいはがん患者向けの栄養補助食品)』という分類に入っています。日本でいえば、「特定保健用食品(トクホ)」のようなものです。日本ではがん治療に効果が認められた特定保健用食品はありませんが、多くの臨床試験で有効性が認められているため、Avemarはがん治療に役立つ特定保健用食品と言っても過言ではありません。
Avemarの最新の製品が発売されています。その製品名がAveULTRAです。AveULTRAはヒッドヴェギ博士が特許を持っているAvemar® (fermented wheat germ extract)を1包中に5.5g含有します。
標準治療にAvemarを併用することによって、副作用を軽減し、さらに奏功率や生存率などの抗腫瘍効果を高めることが複数の臨床試験で報告されています。特に再発予防に効果があることが明らかになっています。

キサントン-40の画像キサントン-40
マンゴスチン果皮エキス粉末(Xanomax 20%)をカプセルに入れた製品です。1カプセル(230mg)中に200mgのマンゴスチン果皮エキス粉末(Xanomax 20%)を含みます。したがって、1カプセルに40mgのキサントン(α-Mangosteen)を含みます。全フラボノイド含量は1カプセル当り80mg以上です。1日に10~20カプセルの服用でキサントン400~800mgが摂取できます。
1パック300カプセル入り:9000円(税込み)

マンゴスチンはマレー半島を原産地とするオトギリソウ科樹木の果実で、学名はガルシニア・マンゴスターナ(Garcinia Mangostana)です。
東南アジア地域(インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピンなど)では古くからマンゴスチンの果皮が民間薬として、感染症(赤痢やマラリアや寄生虫など)、皮膚疾患(湿疹や傷の化膿など)、消化器疾患(下痢や消化不良など)、炎症性疾患など多くの病気の治療に利用されていました。それは、マンゴスチン果皮には、殺菌作用・解熱作用・抗炎症作用・抗酸化作用・滋養強壮作用などの薬効があるからです。
これらの効果は、マンゴスチン果皮に多く含まれるキサントン(Xanthones)と言う成分の薬理作用によります。キサントンはポリフェノールの一種で、自然界には200種類以上のキサントンが見つかっています。そのうち約50種類程度のキサントンがマンゴスチン果皮から見つかっています。

キサントンの基本構造アルファ・マンゴスチンの化学構造ガンマ・マンゴスチンの化学構造

多くの基礎研究によって、キサントンには強力な抗酸化作用、COX-2阻害作用などの抗炎症作用、がん細胞にアポトーシス(細胞死)を誘導する作用、転写因子NF-κB活性の阻害作用、細胞増殖を促進するMAPキナーゼやAktなどのプロテインキナーゼの阻害作用などが報告されています。キサントンには強力な抗菌作用があるので、感染症の予防にも効果が期待できます。キサントンにはがん細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞の活性を高める効果も報告されています。
長い歴史の中で民間療法として人体での有効性が認められており、さらに、近年の多くの基礎研究の結果から、マンゴスチン果皮やキサントンは、炎症性疾患やがんの治療において有効であることが示されています。
培養がん細胞を使った実験で、α-マンゴスチンの抗がん活性(50%増殖抑制濃度)は5-FU(フルオロウラシル)と同じレベルであることが報告されています。
内服の5-FUの通常の投与量は1日200~300mgです。したがって、キサントンを1日に400~800mg(キサントン-40を10~20カプセル)摂取することは、がんの治療において効果が十分に期待できると考えています。その他の動物実験や臨床研究の結果からも、抗がん作用や免疫増強作用が期待できるキサントンの服用量として1日400~800mgが勧められます。この量のキサントンの服用では副作用は全く経験していません。
また、抗がん漢方薬やジインドリルメタンやアルテスネイトなど、抗がん作用をもった他の代替医療と併用すると、抗がん作用を増強することができます。抗がん剤と併用して、相乗的に抗腫瘍効果を高める効果が報告されています。MAPK/Aktシグナル伝達系を阻害するので、ジインドリルメタン製剤(DIM-Pro)との併用は相乗効果が期待できます。

DIM-PRO 100の画像DIM-PRO 100
抗がん作用のあるジインドリルメタンを、体内に吸収しやすく製剤化した米国製のサプリメントです。
ジインドリメタンは、乳がんや前立腺がんをはじめ多くのがん細胞の増殖を抑え、 細胞死(アポトーシス)を誘導する効果があります。免疫増強作用や、がん細胞の抗がん剤感受性を高める効果も報告されています。
1ヶ月分/120カプセル:10,000円(消費税込み)。

【作用機序と有効性の根拠】
ジインドリルメタンは、ブロッコリーやケールなどのアブラナ科の植物や野菜に含まれグルコブラシシン(Glucobrassicin)という成分が、体内で変化して生成される物質です。すなわち、グルコブラシシンが加水分解してインドール-3-カルビノール(Indole-3-carbinol)になり、さらに胃の中の酸性の条件下では、インドール-3-カルビノールが2個重合したジインドリルメタン(3,3-diindolylmethane)になります(図)。

グルコブラシシンインドール-3-カルビノールジインドリルメタン

がん細胞では、セリンスレオニンリン酸化酵素のAktキナーゼや核内転写因子NF-κBが恒常的に活性化していることが多く、このようなAktやNF-κBの活性化が抗がん剤に対する抵抗性獲得の原因となっています。
培養細胞や動物を使った実験で、ジインドリルメタンは、Akt/NF-κBシグナル伝達系を阻害する作用によって、がん細胞の細胞死(アポトーシス)を誘導する作用、抗がん剤に対する感受性(抗がん剤が効きやすくなること)を高める効果が報告されています。
例えば、乳がん細胞に対するタキソールの効果、前立腺がん細胞の対するタキソテールの効果、膵臓がんに対する抗がん剤(シスプラチン、ジェムシタビン、オキサリプラチン)やタルセバ(erlotinib)の効果を高めることが報告されています。
さらに、NF-κBの活性を阻害することによって、NF-κBによって調節を受け、血管新生やがん細胞の浸潤や転移に関与しているVEGFやIL-8やMMP-9やuPAなどの遺伝子発現を抑え、がん細胞の増殖や転移を抑える効果も報告されています。
副作用が無いので、抗がん剤と併用しても問題が起こることはありません。

がん細胞内でAkt/NF-κBシグナル伝達系が活性化されると、がん細胞の増殖、抗がん剤抵抗性、血管新生、浸潤・転移が促進される。
ジインドリルメタンは、がん細胞のAkt/NF-κBシグナル伝達系を抑制することによって、がん細胞の増殖を抑制し、抗がん剤感受性を高める効果を発揮する。

【服用法と費用】
米国ではジンドリルメタンのサプリメントが販売されています。その中で消化管からの吸収効率が高くなるように製剤化したDIM-PRO 100が推奨されています。
DIM-PRO 100の1カプセル中には腸管からの吸収効率を高めたジインドリルメタン複合体が100mg(ジインドリルメタン自体は25mg)とビタミンC20mgが含まれています。
DIM-PRO 100は1日に4カプセルを食後(朝と夕の2回に分けて)に服用します。抗がん剤の抗腫瘍効果をさらに高めるために、1日6~8カプセルに服用量を増やすと効果が高まります。
DIM-PRO 100は1個(120カプセル入り)が10,000円(税込み)ですので、1日4カプセル服用で1ヶ月分の費用が10,000円になります。1日8カプセルに増やすと1ヶ月分が20,000円になります。

Silymarine Extract(シリマリン抽出物)の画像ミルクシスル(シリマリン)
1カプセル中に80%シリマリン含有のミルクシスル抽出物を300mg含む。 (1カプセル当たり240mgのシリマリンを含む)
90カプセル/5000円(税込み)
製造:DaVinci Laboratories(米国)
シリマリンは肝機能改善や副作用軽減の目的では1日2~3カプセルを服用します。がん治療の目的では1日3~6カプセル、あるいはそれ以上を服用します。

【シリマリンは肝臓障害を軽減する】
シリマリンはミルクシスルというキク科の植物の種子に含まれるフラボノリグナン(flavonolignan)の総称です。ヨーロッパでは2000年以上前から民間薬として肝機能障害などの治療に経験的に利用されています。ミルクシスル種子は4~6%のシリマリンを含有しており、このシリマリンがミルクシスルの肝機能改善作用の効果の活性成分で、1970年代からシリマリンを中心に研究がすすめられ、ミルクシスルおよびその活性成分のシリマリンの肝細胞保護作用や肝機能改善作用の効果が科学的に証明されています。 ウイルス性肝炎やアルコール性肝炎あるいは肝硬変の患者を対象にした複数の臨床試験でシリマリンの肝機能改善効果や延命効果が確かめられています。
シリマリンは最も強力な肝臓保護物質の一つとして知られています。シリマリンのもつ肝臓保護作用は、肝臓の蛋白質合成を刺激する作用とともに、肝障害の原因となるフリーラジカルやロイコトリエンやプロスタグランジンを抑制することに起因します。シリマリンにはビタミンEより強い抗酸化作用があります。肝臓のグルタチオンの量を増やす効果も指摘されています。グルタチオンは肝臓の解毒能や抗酸化作用を高めます。
アルコールや医薬品、トルエンやキシレンなどの化学薬品、毒キノコなど多くの肝臓毒性物質による肝臓傷害に対してミルクシスルが肝臓保護作用を示すことは、動物実験のみならずヒトでの臨床試験でも確認されています。
抗がん剤の多くは肝臓で代謝され、肝臓にダメージを与えます。このような抗がん剤治療による肝臓障害に対しても、ミルクシスルの有効性が報告されています。欧米では、抗がん剤治療を受けている患者さんが、自分の判断あるいは医師の処方としてミルクシスルのサプリメントを摂取しています。欧米では、ミルクシスルの肝臓保護作用が良く知られており、サプリメントとして多くの商品が販売されています。肝障害を予防できると、抗がん剤治療を予定通り行うことができます。
肝機能障害を発症した急性リンパ性白血病の50人の子供を対象に、ミルクシスルのサプリメントの治療効果がランダム化二重盲検試験で検討されています。その試験結果によると、ミルクシスルの投与によって、肝機能が著明に改善し、副作用によって抗がん剤を減らす必要があった症例の率が低下し、抗がん剤の効き目には差はなかった(抗がん剤の効き目を妨げない)ことが報告されています。
ミルクシスルは肝臓保護作用の他にも、抗がん剤による腎臓や心臓のダメージを軽減する効果も報告されています。放射線による腎臓のダメージにもミルクシスルは保護作用を示します。ラットを使った実験で、ドキソルビシンの心臓毒性と肝臓毒性に対して保護作用を示すことが報告されています。
全身麻酔による副作用や合併症を予防するために、手術前にミルクシスルの服用を推奨する意見があります。シリマリン(420mg/日)の投与によって全身麻酔による肝障害が予防できることが臨床試験で示されています。
ラットを使った実験では放射線照射の1時間前にシリマリンを投与すると脾臓や肝臓や骨髄のダメージが緩和することが報告されています。脳転移の患者に放射線治療を行うときにオメガ3不飽和脂肪酸とシリマリンを服用すると、副作用が軽減し生存期間が延びることが臨床試験で示されています。 培養細胞や動物実験では、ミルクシスルは抗がん剤の効き目を高める可能性が示唆されています。

【シリマリンには直接的な抗腫瘍活性がある】
シリマリンには、がん細胞の増殖シグナル伝達系を阻害する作用や、抗酸化作用などによって転写因子のNF-κB活性を阻害する作用、がん細胞の浸潤や転移を抑制する効果、がん細胞のワールブルグ効果を阻害して抗がん作用を示すことなど多彩な抗がん作用が報告されています。
様々な動物発がん実験において、シリマリンががん予防効果を発揮することが報告されています。肝臓がんや大腸がんや腎臓がんなどのがん細胞を移植した動物実験で、シリマリンが腫瘍の縮小効果を示すことが報告されています。切除不能の進行した肝臓がんが、1日450mgのシリマリンを服用してがんが自然退縮したという症例の報告があります。(Am J Gastroenterol. 90:1500-1503, 1995)
手術と放射線治療を行った前立腺がん患者において、シリマリン、大豆、リコピン、抗酸化剤の入ったサプリメントを服用することによって再発が有意に抑えられることが報告されています。(Eur Urol. 48: 922-930, 2005)
以上のように、シリマリン自体は毒性が極めて低く、抗酸化作用や肝細胞保護作用など抗がん剤治療による副作用を軽減する効果も多くの臨床試験などで確認されています。さらにがん細胞のワールブルグ効果を是正する作用や、増殖シグナル伝達系を抑制する作用があるため、がん治療において併用するメリットが高い成分と言えます。

シリマリンの効果について

図:ミルクシスル(マリアアザミ)に含まれるシリマリンは、抗がん剤や放射線治療の副作用を軽減する効果がある。さらに様々な機序で抗がん作用を示し、標準治療の抗腫瘍効果を増強する。副作用はほとんど無く、有効性は多くの臨床試験で確かめられている。サプリメントとして安価に販売されており、がんの標準治療の補完医療として有用性が高い。

【服用法】
シリマリンは1日に3~6カプセルを食後に服用します。肝機能改善や副作用軽減の目的では1日2~3カプセルを服用します。がん治療の目的では1日3~6カプセル、あるいはそれ以上を服用します。

ジクロロ酢酸ナトリウムの画像ジクロロ酢酸ナトリウム
がん細胞ではミトコンドリアの機能が低下していることが、抗がん剤抵抗性の一因になっているという報告があります。ジクロロ酢酸ナトリウムはがん細胞のミトコンドリアを活性化して、抗がん剤の効き目を高めます。1日に0.5~1.0gを水の溶かして服用します。10g当たり4000円になりますので、1ヶ月分が6000〜12000円になります。

【作用機序と有効性の根拠】
がん細胞が死ににくくなる(アポトーシスに抵抗性になる)原因の一つに、がん細胞のミトコンドリアにおけるTCA回路(クエン酸回路)や酸化的リン酸化の低下にあるという考えが発表されています。TCA回路酸化的リン酸化というのは、ミトコンドリア内で酸素を使ってグルコース(ブドウ糖)を分解してエネルギー(ATP)を産生する過程です。一方、細胞質内で酸素を使わずにグルコースを分解してエネルギーを産生することを嫌気性解糖と言います。
細胞分裂しない神経や筋肉細胞を除いて、正常の細胞は古くなったり傷ついたりするとアポトーシスというメカニズムで死にます。このアポトーシスを実行するときに、ミトコンドリアの電子伝達系や酸化的リン酸化に関与する物質が重要な役割を果たしています。
つまり、がん細胞ではアポトーシスを起こりにくくするために、あえてミトコンドリアにおけるTCA回路と酸化的リン酸化を抑え、必要なエネルギーを細胞質における嫌気性解糖系に依存していると説明されています。
がん細胞におけるミトコンドリアの機能抑制は不可逆的なものではなく、機能を可逆的に正常に戻すことができるという研究結果が報告されています。そして、がん細胞におけるミトコンドリア内での酸化的リン酸化を活性化すると、がん細胞のアポトーシス(細胞死)が起こりやすくなることが報告されています。
がん細胞のおけるミトコンドリアでのエネルギー産生を活性化する薬としてジクロロ酢酸ナトリウムが有効であることが報告されています。
つまり、ジクロロ酢酸ナトリウムでミトコンドリアを活性化すれば、がん細胞が死にやすくなるということが明らかになったのです。ジクロロ酢酸ナトリウムの併用によって抗がん剤が効きやすくなると報告されています。
ジクロロ酢酸ナトリウム(sodium dichloroacetate)は酢酸(CH3COOH)のメチル基(CH3)2つの水素原子が塩素原子(Cl)に置き換わったジクロロ酢酸のナトリウム塩です。ジクロロ酢酸ナトリウムはピルビン酸脱水素酵素キナーゼを阻害することによってピルビン酸脱水素酵素の活性を高め、TCA回路を活性化する作用があります。ミトコンドリアの異常による代謝性疾患、乳酸アシドーシス、心臓や脳の虚血性疾患の治療などに、医薬品として古くから使用されています。

【ジクロロ酢酸ナトリウムの服用法と注意点】
1日分を1回(朝)か2回(朝と夜)に分けて服用します。
がん治療の場合は1日に体重1kg当たり10~15mgを服用します。体重60kgの人で600mg~900mgになります。
ジクロロ酢酸ナトリウムは粉末を量って、水かお湯に溶かして服用します。胃に刺激になるため、食後の服用が推奨されます。
ジクロロ酢酸ナトリウムを服用するとピルビン酸脱水素酵素の活性が上がるとともに、ビタミンB1が消費されるために長期投与ではビタミンB1欠乏になりやすくなります。そこでジクロロ酢酸ナトリウムと同時にビタミンB1の補充が必要です。市販のアリナミンや医薬品のビオトーワなどのビタミンB1製剤を服用します。 ジクロロ酢酸ナトリウムの体内での半減期は約24時間ですので、1回服用したジクロロ酢酸ナトリウムが体内からほとんど排泄されるのに数日かかります。したがって、毎日服用すると少しづつ体内に蓄積して副作用が起こりやすくなります。高齢者では体内での代謝(分解と排泄)が遅くなる傾向にあります。
がんの進行状況や体調などによって、1日の服用量や1週間の服用回数などを調節します。
1日おきの服用や、1週間のうち5日間服用して2日間休むというような服用法を考慮します。
副作用と思われる症状が現れたときは、その症状が消失するまで服用を中断します。副作用が消失した後、少量から再開します。
ジクロロ酢酸ナトリウムの体内濃度を急速に上げたり中断するより、低用量を長期間にわたって服用する方が良いようです。
腫瘍の縮小がみられた場合は、ジクロロ酢酸ナトリウムの量を体重1kg当たり1日2~3mgに減らし、ビタミンB1を併用する維持療法が試されています。
ビタミンB1欠乏による末梢神経障害が起こりやすいので、ビタミンB1を補充して予防します。末梢神経障害が強いときはジクロロ酢酸ナトリウムの服用を中断します。
大量のジクロロ酢酸ナトリウムを服用するとがん細胞の急激な壊死によって、高尿酸血症、高カリウム血症、代謝性アシドーシス、腎不全などの症状(腫瘍融解症候群、Tumor Lysis Syndrome)が起こることがあるので、低用量から開始し、副作用の状況をみながら少しづつ増量する方法が推奨されています。腫瘍融解症候群は悪性リンパ腫や白血病でみられやすいので、これらの腫瘍の場合は特に注意が必要です。妊娠中は服用できません。胎児の奇形が発生する危険があります。

【費用】
ジクロロ酢酸ナトリウムは10g当たり4,000円(税込み)で処方しています。
1日に0.5~1.0gを服用しますので、1ヶ月分の費用は6,000~12,000円になります。

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ノスカピンの画像ノスカピン
ノスカピン(Noscapine)はモルヒネと同じくけしの液汁(アヘン)に含まれる植物アルカロイド性の成分です。『非麻薬性中枢性鎮咳剤』に分類されている医薬品で、咳止め(鎮咳薬)としては1950年代から多くの国で使用されています。
咳止めとして使用される量より多い量のノスカピンを服用すると、抗がん作用があることが報告されています。がんの代替医療において、乳がん、肺がん、前立腺がん、卵巣がん、脳腫瘍、悪性リンパ腫、白血病など多くのがん種に使用されています。
ノスカピンには細胞の分裂に重要な役割を果たす微小管の働きを阻害する効果があります。 さらに、転写因子のNF-κB活性を阻害する作用があり、抗がん剤の感受性を高める効果が報告されています。


●ノスカピンはNF-κBシグナル伝達系に作用して抗がん剤感受性を高める効果が報告されています。

Noscapine, a benzylisoquinoline alkaloid, sensitizes leukemic cells to chemotherapeutic agents and cytokines by modulating the NF-kappaB signaling pathway.(ベンジルイソキノリン・アルカロイドのノスカピンは、NF-κBシグナル伝達系に作用して抗がん剤やサイトカインに対する白血病細胞の感受性を高める)Cancer Res.70(8):3259-68., 2010.

【要旨】
ノスカピンの抗がん作用のメカニズムは不明な点も多い。転写因子のNF-κBは炎症やがん細胞の増殖・浸潤・血管新生に重要は役割を果たしている。ノスカピンの抗がん作用と、NF-κBシグナル伝達系との関係を検討した。サイトカインや抗がん剤によって誘導されるがん細胞のアポトーシスをノスカピンは増強した。
ノスカピン単独投与で、ヒト白血病細胞と骨髄腫細胞の増殖を抑制し、細胞の生存に必要な蛋白質の発現レベルを低下させた。細胞の増殖、浸潤、血管新生に関与しNF-κBによって発現が調節されている蛋白質の誘導性発現を抑制した。ノスカピンはIκBキナーゼの活性を阻害してIκBαのリン酸化と分解を抑制し、さらにさらに、p65のリン酸化と核への移行を抑制することによってNF-κBの活性化を抑制した。NF-κBによって活性化されるCOX-2プロモーター活性をノスカピンは阻害した。
以上のことから、ノスカピンはNF-κBの活性を低下させることによって、白血病細胞の増殖を抑え、腫瘍壊死因子や抗がん剤に対する腫瘍細胞の感受性を高めることができる。


●ノスカピンは血管新生阻害作用や放射線感受性を高める作用が報告されています。

Antiangiogenic effects of noscapine enhance radioresponse for GL261 tumors.(ノスカピンの血管新生阻害作用はGL261腫瘍の放射線感受性を高める)Int J Radiat Oncol Biol Phys. 71(5):1477-84, 2008.

グリオーマ細胞(GL261)を移植したマウスの実験モデルで、ノスカピンは放射線治療の抗腫瘍効果を高めた。放射線単独治療に比べ、ノスカピンと放射線治療を併用した場合は、腫瘍の血管新生が著明に阻害された。すなわち、ノスカピンはグリオーマ細胞GL261の放射線感受性を高め、腫瘍増殖を著明に抑えた。その作用機序として血管新生阻害作用の関与が示唆された。

以上のような報告からノスカピンはがん細胞の抗がん剤や放射線治療の効き目を高める効果が期待できます。

【費用】
1カプセル(200mg)が400円になります。病状や治療の状況に応じて、1日に3~9カプセルを服用します。1ヶ月分が36,000~108,000円と費用がやや高価です。しかし、副作用がほとんど無く、ジクロロ酢酸ナトリウムやアルテスネイトと併用することによって、抗腫瘍効果を高めることができます。

メトホルミンの画像メトホルミン
インスリンの働きを良くしてインスリンの産生を抑える糖尿病治療薬のメトホルミン(Metformin)ががんの発生率を抑えることが多くの研究で明らかになっています。
がん細胞の増殖を抑えるAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化する作用があるので、糖尿病をもっていない人でも、がんの発生予防や再発予防やがん治療に役立つ可能性が指摘されています。抗がん剤の効果を高め、生存期間を延ばす効果が報告されています。

【作用機序と有効性の根拠】
メトホルミンは、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を介した細胞内信号伝達系を刺激することによって糖代謝を改善します。すなわち、筋・脂肪組織においてインスリン受容体の数を増加し、インスリン結合を増加させ、インスリン作用を増強してグルコース取り込みを促進します。さらに肝臓に作用して糖新生を抑え、腸管でのブドウ糖吸収を抑制する作用があります。したがって、糖尿病の治療薬として使用されています。
インスリン抵抗性を改善することは老化やがんの予防に有効であることが明らかになっており、メトホルミンはがん予防や抗老化の薬としても注目されるようになっています。膵臓がん・肺がん・大腸がん・乳がんなど多くのがんの予防や治療にメトホルミンが有効であることが多くの研究で明らかになっています。
メトホルミンには、乳がんの増殖や転移や悪性度に深くかかわる遺伝子タンパク(HER2:Human epidermal growth factor receptor type2)の働きを抑える作用があること、エストロゲンを産生するアロマターゼという酵素を阻害する作用も報告されています。ある疫学研究では、メトホルミンを服用することで、乳がんの発症が56%低下することが報告されています。
メトホルミンはインスリンの分泌を低下させる効果の他に、AMP活性化プロテインキナーゼの活性を高めて、がん細胞の増殖を抑え、抗がん剤で死滅しやすくなることが報告されています。がん幹細胞の抗がん剤感受性を高め抗がん剤の効き目を高める効果が報告されています。
予後が不良のトリプルネガティブの乳がんに対して、メトホルミンは転移を抑制して、生存期間をのばす効果が示唆されています。

【服用法と費用】
メトホルミン(250mg)が50円で、1日2錠を服用しますので、1日100円、30日分が3000円で処方しています。空腹時に1錠づつ、1日2回服用します。 (詳しくはこちらへ)

アセチル-L-カルニチンの画像アセチル-L-カルニチン
アセチル-L-カルニチンは脂肪燃焼を促進してエネルギー産生を増やすので抗がん剤治療に伴う倦怠感の改善に効果があります。抗がん剤による末梢神経のダメージを軽減し、修復を促進する効果が報告されています。抗がん剤治療の効果を高める作用も報告されています。
Vital Nutrients(米国)製
500mg/60カプセル入り:6300円(税込み)

【作用機序と有効性の根拠】
抗がん剤治療中をはじめ、がん患者が訴える倦怠感や体力低下に、体内でのL-カルニチンの不足の関与が指摘されています。カルニチンの不足は脳でのエネルギーの枯渇を引き起こし、抑うつ気分や思考力の低下の原因にもなります。L-カルニチンが抗がん剤治療中の倦怠感や抑うつ気分を改善するという臨床報告があります。例えば、イタリアのUrbino病院の研究では、抗がん剤治療を受けた後、倦怠感を訴えた30人を対象に、L-カルニチンを1日4gを 7日間投与したところ、26人(87%)の患者で倦怠感が軽減しました。
アセチル-L-カルニチン(Acetyl-L-Carnitine)L-カルニチン(L-Carnitine)にアセチル基(CH3CO-)が結合した体内成分です。アセチル-L-カルニチンは細胞内でL-カルニチンに変換するので、L-カルニチンと同じ効果(脂質の燃焼促進)があります。さらに、アセチル-L-カルニチンは神経細胞のダメージの軽減や、ダメージを受けた神経細胞の修復・再生を促進する効果が報告されています。
神経障害の改善効果に関して、1) カルニチンには抗酸化作用があり、酸化障害を軽減する、2) 細胞内のエネルギー産生を高め、修復を促進する、3) 神経成長因子の効果を高め、神経障害の修復と再生を促進する、といった作用機序が指摘されています。
1日2000mg程度のアセチル-L-カルニチンの摂取は、抗がん剤による神経障害を軽減し、症状を改善し、回復を促進する効果が期待できると言えます。抗がん剤の効き目を高める効果も報告されています。アセチル-L-カルニチンはアセチル基の供給源となってp53蛋白やヒストンのアセチル化を介して抗腫瘍効果を発揮することが推測されています。(詳しくはこちらへ)

【服用上の注意点】
副作用としては、1日4g以上の摂取で吐き気や下痢が起こる可能性があります。
甲状腺ホルモンの作用を軽減する効果が指摘されています。

【費用】
500mg/60カプセル入り:6300円(税込み)/通常、1日1000~2000mgを服用します。

漢方煎じ薬の画像漢方煎じ薬
漢方薬は複数の生薬を組み合わせて、それを熱水で数10分間煎じて生薬に含まれる薬効成分を抽出した天然薬です。病状や体調に応じて個別に処方した煎じ薬は、食欲や体力や免疫力を高めることによって抗がん剤の副作用を緩和する効果があります。抗がん剤の効き目を高める効果もあります。
生薬を自宅で煎じるのが基本ですが、煎じることが困難な場合は、クリニックで煎じてレトルトパックに詰めてお送りすることもできます。
1ヶ月分は自分で煎じる生薬の場合は2~4万円、レトルトパック詰めが3~5万円程度になります。副作用の症状や程度によって使用する生薬の種類と量が変わりますので費用が異なります。

滋養強壮作用や免疫増強作用、血液循環改善作用、解毒作用をもった生薬を組み合わせた漢方薬は、抗がん剤治療の副作用を緩和する目的で役にたちます。さらに、がん細胞の抗がん剤感受性を高めるような生薬も報告されており。このような生薬を併用すると抗がん剤の抗腫瘍効果を高めることができます。
欧米では、抗がん剤治療中のハーブの使用を勧められないという意見もあります。その理由は、ハーブが抗がん剤の薬物代謝に影響して効果を弱めたり、副作用を増強する可能性があるからです。
しかし、中国や日本で行われた多くの臨床試験で、適切な漢方治療を行えば、抗がん剤治療の様々な副作用を緩和し、生存率を高める効果が報告されています。
抗がん剤治療の副作用として消化管粘膜の障害による食欲不振や吐き気、下痢、体力低下や倦怠感、免疫組織のダメージによる免疫力の低下、骨髄のダメージによる白血球減少・貧血・血小板減少、末梢神経障害によるしびれ、などが発症します。
このような副作用の症状を改善するような生薬を組み合わせると、抗がん剤の副作用を軽減する漢方薬をオーダメイドに作成することができます。抗がん剤の副作用の症状を改善する生薬の例として以下のようなものがあります。

これらの生薬を副作用の症状や程度に応じて組み合わせて作成したオーダーメイドの漢方煎じ薬を利用すると、抗がん剤の副作用を緩和して抗腫瘍効果を高めることができます。

抗がん剤治療による末梢神経障害を改善するサプリメントと漢方薬

抗がん剤の副作用の中で、吐き気や胃腸障害は抗がん剤投与が終了すれば起こらなくなり、白血球減少などの骨髄障害も、抗がん剤投与が終了すれば回復してきます。しかし、末梢神経障害は、抗がん剤治療が終了したあとも長く続くことが多く、数ヶ月や数年間ほとんど症状が改善しない場合もあります。
このような抗がん剤による末梢神経障害に対して有効性が証明された治療法はまだありませんが、動物実験や小規模な臨床試験で有効性が報告されているサプリメントとしてアセチル-L-カルニチン、メラトニン、αリポ酸があります。
これらはいずれもサプリメントで、副作用はほとんど無く、しかも抗がん剤治療の副作用軽減だけでなく、抗腫瘍効果を高める効果も報告されています。抗がん剤治療による末梢神経障害の予防と治療において、この3種類のサプリメントを組み合わせる方法は試してみる価値があると思います。
さらに、神経の再生を促す働きがあるビタミンB1,B6,B12牛車腎気丸のような血液循環を良くししびれや痛みに使用される漢方薬や、芍薬甘草湯のように筋肉痛に有効な漢方薬を併用すると、症状を改善する効果を高めることができます。漢方薬の場合は煎じ薬を使用すると、さらに効果を高めることができます。
(詳しくはこちらへ)

酸素ナノバブル水

直径2nmの酸素ナノバブルを、200京個/mlの高濃度で含む酸素ナノバブル水です。がん組織の酸素分圧を高めることによって、放射線治療や抗がん剤治療の効果を高めます。
酸素ナノバブル水が放射線治療や抗がん剤治療の抗腫瘍効果を高める理由はこちらへ

自宅でできる「水素ガス吸入療法」

水素分子(H2)は最も優れた還元力をもつ物質です。活性酸素の中でも最も有害なヒドロキシラジカルを消去し、生体防御や細胞機能に重要な働きを持つスーパーオキシドや過酸化水素は消去しません。
また、水素は生体膜を拡散し種々の細胞内小器官に浸透しうる(血液脳関門も容易に通過する)ので、活性酸素による酸化障害の治療法として理想的な特徴を持っています。
抗がん剤の副作用軽減に有効です。美容や抗老化にも効果が期待できます。
水素を大量に発生させる発泡水素材を利用し、自宅で安全に水素ガスを吸入できる方法を紹介します。
水素の抗がん剤の副作用軽減作用についてはこちらへ

水素ガス浴

世界に類を見ない発泡水素発生材が開発されました。お湯に入れるだけで分子状水素ガス(H2)が大量に発生し、風呂桶いっぱいに、水素を豊富に溶存させたお湯を作ります。この水素浴で、水素ガス分子は、皮膚や肺から血液に入り、全身の細胞の中へ素早く届き、体内の活性酸素を消去し、酸化ストレスを軽減します。入浴による血液循環や新陳代謝の活性化の効果に、水素ガスによる酸化ストレス軽減効果が加わると、回復力や自然治癒力が相乗的に高まります。