漢方治療はがん患者の生存率を高める

f-gtc (2018年10月16日 10:23)

漢方治療はがん患者の生存率を高める

台湾におけるがん治療における中医薬(漢方薬)治療の実態に関して多くの報告があります。
以下の論文では漢方治療を受けたがん患者は漢方治療を受けなかったがん患者より生存率が高いことが報告されています。

Use of Complementary Traditional Chinese Medicines by Adult Cancer Patients in Taiwan: A Nationwide Population-Based Study(台湾における成人がん患者による伝統的中医薬の補完的使用:全国民ベースの研究)Integr Cancer Ther. 2018 Jun; 17(2): 531-541.

【要旨】

研究の背景:がん患者の多くは、補完的な代替医療を求めている。台湾の成人がん患者による伝統的な中医薬(漢方薬)の使用を調査した。


方法: 台湾の難治性疾患患者登録データベース(Registry for Catastrophic Illness Patients Database)を調査し、国際疾病分類(第9改正)に基づいて、2001年から2009年までのがんと診断された全ての成人を対象にして、2011年まで追跡調査した。このデータベースにより、中医薬使用者(n=74620)と非使用者(n = 508179)を分類できた。すべての人口統計学的および臨床的なデータが分析された。


結果: 中医薬を使用していないがん患者と比較して、中医薬を使用しているがん患者は、より若く、女性とホワイトカラーの労働者(頭脳労働をする人)が多い傾向にあり、さらに高度に都市化の進んだ地域(highly urbanized areas)に住んでいる人が多かった。
がんの診断を受けてから中医学のクリニックに相談に行くまでの平均間隔は15.3ヶ月であった。
最も多いがんの種類は、中医薬使用者では乳がん(19.4%)であり、中医薬非使用者では肝内胆管がん(13.6%)であった。
中医薬使用者が中医学の診療所を訪れた主な理由は、内分泌系異常、栄養障害および代謝性疾患、免疫障害であった。
中医薬使用者の33.1%が年間に9回以上中医学診療所を訪問し、がんの診断から最初に中医学治療の相談に行くまでの期間の平均は5.14ヶ月であった。
中医学的治療のうち最も多かったのは中医薬(漢方薬)であった。
がん患者が中医学的治療を求めた理由は、不眠、倦怠感・疲労、めまい・頭痛、胃腸障害、筋肉痛・筋膜炎、不安・うつ病であった。
年齢、性別、居住地の都市化、職業、医療期間への訪問回数、および非医療関係のセンターの訪問を調整後の解析で、中医薬非使用者に比べて中医薬使用者の死亡率は低く、その死亡率の調整ハザード比は0.6995%信頼区間 = 0.68-0.70)であった。


結論:本研究では、台湾の成人がん患者における中医薬(漢方薬)使用の概要を提供している。 中医薬の使用は、がんの種類の違いによって様々であった。がん患者を診療する医師は、患者が使用している補完的な中医薬(漢方薬)の使用にもっと注意を払うべきである。 

【解説】

情報技術の進歩により、今やビッグデータの時代と言われています。医療の疫学研究でも医療ビッグデータを利用した研究が増えています。

台湾では、1995年に国民皆保険制度を実現しています。
台湾の医療制度は、「全民健康保険(National Health Insurance」という台湾政府が管理するシステムで、台湾で戸籍を持つ全ての人に対して平等な医療ケアを提供するために作られました。国民全員を加入対象とした完全な社会保険制度で、国民全員が出生した時点で、平等に医療を受ける権利を享受できできます。

健康保険証はICカードのみで、医療事務の電子システム化が進んでおり、オンライン請求率は2006年には99.98%に達しています。

このような状況で、台湾では国民全体の医療情報(年齢、性別、病名、治療内容など)がデータベース化されています。この「全民健康保険研究データベース(National health insurance research database; NHIRD」を使った疫学研究が台湾から数多く発表されています。

がんの場合はNHIRDの中に「難治性疾患患者登録データベース(Registry for Catastrophic Illness Patients Database」というデータベースもあります。

台湾の全民健康保険(National Health Insurance)では、がん患者は西洋医学の標準治療だけでなく、中医学治療(漢方治療)も保険給付され、それらの情報がデータベース化されています。したがって、漢方治療を受けたがん患者と漢方治療を受けなかったがん患者で、生存率や生存期間の比較も可能になっています。

ハザード比(Hazard ratioというのは追跡期間を考慮したリスクの比です。この論文のリスクは死亡率です。

この報告において、漢方薬非使用群に対する漢方薬使用群の死亡率のハザード比が0.69というのは、追跡期間中に漢方薬を服用したがん患者は漢方薬を服用しなかったがん患者に比べて死亡率が31%減少したという意味になります。

95%信頼区間とは,仮に同様な試験を100回した場合に95回はこの値の幅の中に入るという意味です。95%信頼区間 = 0.24-0.45というのは、同様な試験を100回行なえば、95回はハザード比が0.24-0.45の間に入ることを意味します。つまり、漢方薬ががん患者を延命させる可能性は極めて高いという結果です。

漢方薬を使用する人は女性が多く、都市化の進んだ地域に住んでいる人が多いという結果が得られています。

都市の方が漢方薬などの中医学治療を行なっている医療機関が多いというアクセスの良さが理由のようです。田舎では中医学のクリニックが無いということです。

都市化が進んだ地域は、生活環境や医療環境も良いので、それが生存率に影響する可能性があります。また、女性は男性よりも寿命が長いので、女性が多いことが生存率の高さに影響する可能性もあります。

そこで、このような交絡因子(調べようとする因子以外の因子で、病気や死亡の発生に影響を与えるもの)の影響をさける目的で、年齢、性別、居住地の都市化、職業、医療期間への訪問回数、および非医療関係のセンターの訪問を調整後のハザード比を計算しています。

その結果、漢方薬服用はがん患者の死亡率を30%くらい低下させるという結果が得られたということです。

【原文】

Integr Cancer Ther. 2018 Jun;17(2):531-541. doi: 10.1177/1534735417716302. Epub 2017 Jun 30.


Use of Complementary Traditional Chinese Medicines by Adult Cancer Patients in Taiwan: A Nationwide Population-Based Study.

Kuo YT1,2Chang TT1,3Muo CH4Wu MY3Sun MF1,3Yeh CC2,5Yen HR1,3,6.

 

Abstract

BACKGROUND:

Many patients with cancer seek complementary and alternative medicine treatments. We investigated the use of traditional Chinese medicine (TCM) by adult cancer patients in Taiwan.

METHODS:

We reviewed the Registry for Catastrophic Illness Patients Database of Taiwan, and included all adult patients diagnosed cancer, based on the International Classification of Diseases (ninth revision), from 2001 to 2009 and followed until 2011. This database allowed categorization of patients as TCM users (n = 74 620) or non-TCM users (n = 508 179). All demographic and clinical claims data were analyzed.

RESULTS:

Compared with non-TCM users, TCM users were younger and more likely to be female, white-collar workers, and reside in highly urbanized areas. The average interval between cancer diagnosis and TCM consultation was 15.3 months. The most common cancer type was breast cancer in TCM users (19.4%), and intrahepatic bile duct cancer in non-TCM users (13.6%). The major condition for which TCM users visited clinics were endocrine, nutritional and metabolic diseases, and immunity disorders (23.2%). A total of 33.1% of TCM users visited TCM clinics more than 9 times per year and their time from diagnosis to first TCM consultation was 5.14 months. The most common TCM treatment was Chinese herbal medicine. The common diseases for which cancer patients sought TCM treatment were insomnia, malaise and fatigue, dizziness and headache, gastrointestinal disorders, myalgia and fasciitis, anxiety, and depression. Overall, TCM users had a lower adjusted hazard ratio (aHR) for mortality (aHR = 0.69, 95% CI = 0.68-0.70) after adjustment for age, sex, urbanization of residence, occupation, annual medical center visits, and annual non-medical center visits.

CONCLUSIONS:

This study provides an overview of TCM usage among adult cancer patients in Taiwan. TCM use varied among patients with different types of cancer. Physicians caring for cancer patients should pay more attention to their patients' use of complementary TCM.

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